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日本と韓国に遅れた台湾もアメリカの関税交渉いよいよ決着か?半導体関税や投資協力の先行きなど不透明感は続く

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トランプ大統領
トランプ関税のディールが各国で相次ぎ決まる中、台湾はなおもがき続けている(Doug Mills/The New York Times)

「台湾とはビッグディールが控えている」。9月11日にアメリカのラトニック商務長官が、ニュース専門放送局CNBCでこう発言した。台湾では、日本や韓国と比べて対米通商交渉が遅れているとのいら立ちの声も挙がっていた。このラトニック商務長官の発言は、米台通商交渉を締めくくる「最終総括会議」開催にアメリカ側が前向きになりつつあるというシグナルなのだろう。

台湾は日本と韓国並みに関税率を下げたい

台湾の頼清徳政権が交渉を通じて得たいと考えてきたのは、第1に相互関税の引き下げである。具体的には、先にアメリカとの合意にこぎつけた日本や韓国並みにまで相互関税を少なくとも引き下げたいと考えているようだ。日韓と競合関係にある台湾企業が多いからである。

日本、韓国は交渉により相互関税をそれぞれ24%、25%から15%に引き下げることに成功した。しかも日本はEU(欧州連合)と同様、税負担軽減措置の適用を受けられることになった。

通常は最恵国待遇(MFN)関税率に相互関税率が上乗せされる。しかし、日本とEUに対しては、MFN関税率が15%未満の製品には、15%の相互関税のみが一律に課せられることになったのである。また、MFN関税率が15%を超える場合には、相互関税率は課せられずMFN関税率が引き続き適用されることになった。

それに対し、8月7日よりアメリカが一方的に台湾に課した相互関税率は20%だった。トランプ政権が4月2日に発表していた32%よりは引き下げられたものの、日韓より依然として高い。

しかも、台湾は税負担軽減措置の適用も受けられていない。もし20%のまま据え置かれた場合には、アメリカ市場で日韓製品と競合関係にある工作機械、プラスチック製品などが特にダメージを受けやすいと目されている。

頼政権は20%という相互税率は暫定的なものであり、今後の交渉により引き下げられるとの認識の下、対米交渉を行ってきた。

第2に、1962年通商拡大法232条に基づく安全保障を理由とした追加関税に関してできるだけ好条件を得ることを頼政権は目指してきた。例えば、自動車・同部品、半導体・同派生品に対する追加関税である。

アメリカは自動車および同部品に対する追加関税率を原則25%に設定した(それぞれ4月3日、5月3日に適用開始)が、日本は従来の関税率2.5%と合算して計15%の追加関税率が適用されることになった(9月15日関連大統領令に署名、8月7日にさかのぼり施行)。韓国も米国との間で同等の合意に達したと発表している。

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