
前回7月の「本日のFOMCは据え置きも、9月の利下げが濃厚だ」ではタイトル通り、アメリカの9月利下げを予想した。16〜17日に開かれているFOMC(公開市場委員会)では、その通りの展開となりそうだが、焦点はSEP(経済見通し)で示される年内の利下げ回数のドットチャートだ。
市場は年3回の毎回利下げを予想するが…
市場参加者の利下げ見通しを示すCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchでは、9月を含めて年内3回の利下げが76.3%、2回利下げが19.9%との予想となっている。年内は9月、10月、12月の3回しか会合がないため、3回利下げとは毎回の利下げ(いわゆる利下げサイクルの復活)を予想していることになる。
足元の雇用統計で純新規雇用者数が大きく下方修正され、特に雇用の需要が弱さをみせていることは利下げを正当化する。仮に10月以降の雇用統計で、失業率が4.3%からさらに上昇し、雇用の需要の弱さが加速するようなことがあれば、確かに3回連続の利下げも可能性はある。
しかし、トランプ関税による物価の押し上げもこれから本格化することが見込まれる。実際、8月のCPI(消費者物価指数)は前年同月比の上昇率が2.7%から2.9%に加速した。食品は前月比で0.5%の上昇となり、トランプ大統領は前月比で3.6%高騰したコーヒーについてブラジルに課していた50%の相互関税の対象から外す対応に追われた。
今回のSEPで年内あと2回の利下げが中心的な見方になると、毎回の利下げ、すなわち利下げサイクルの復活が市場に織り込まれてしまい、金融政策運営の自由度は失われる。
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