
ランチタイムの定番定食「象印御前」2100円(東京店は2200円)。大阪本店の今夏のメインは、塩麹に漬け込んだ唐揚げ(写真提供:象印マホービン)
ライター・編集者の笹間聖子さんが、誰もが知る外食チェーンの動向や新メニューの裏側を探る連載。第13回は前編に続き、象印マホービンが「食事の売場」ではなく「体験の場」として位置づけた食堂が、どのような結果を生んだのか──「家電製品の開発者視点」で進めた、改革と成果に迫ります。
前編で紹介したように、象印マホービン(以下、象印)は“感動を体験させる”食堂をつくることで、SNSでの話題化や検索導線を自然発生させてきた。「炎舞炊き」を知らずに来店した人が、帰宅後に製品を検索し、購入に至ったという声も聞かれる。
象印食堂は、単に「食事を売る場」ではなく、「ブランドと出会う場」と定義してもいいだろう。
この“体験型マーケティング”のモデルは、いかにして成功へと結びついたのか。鍵を握るのは、象印が貫いてきた「開発者視点」だった。
コロナ禍という危機が改革のチャンスに
家電メーカーの象印が、自社開発の炊飯器「炎舞炊き」の魅力を伝える食堂を2018年にオープンしてから7年。象印食堂は、大阪本店で約1500万円、東京で約1900万円の月商を上げるまでに成長した。

月商約1500万円を売り上げる、象印食堂 大阪本店(写真撮影:筆者)
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