「ランチ1人2100円~」でも大盛況!象印マホービンが運営する「米が美味すぎる食堂」。連日満席を実現した4つの仕組み化

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「お客様には、象印の人かそうでないかは分かりません。『なぜ象印の人なのにごはんのことが分からないのか』と感じられてしまうのを避けたい。ごはんについての知識と、普通の飲食店とは違うという意識を持ってもらいたいという思いがありました」

そこで、「自ら学びたいと思えるやり方がないか」と考えたのが「象印食堂ごはんマイスター制度」である。3段階の階級があり、テストに合格すれば胸に「象さんバッジ」を付けることができる。

象さんバッジ
テストに合格すると、胸に「象さんバッジ」がつけられる(写真提供:象印マホービン)

テストは、ごはん、お米、炎舞炊きについての問題を北村さんが、接客についての問題を東京店の店長が作成した。受験資格は、短期間でなく長く勤務していることだ。各店の店長が「この子は試験を受けさせても大丈夫」という時期を見計らって声をかけている。合格すれば、給料もあがる。

まだ仕組み化して1年だが、バッジを付けている人に憧れ、「自分も取りたい」と感じることで、自発的な学習意欲が育まれている。

3段階目のテストには、「バッジを取れていない人を育てているか」も問題に入っているため、後進の育成にも真剣に取り組んでいるそうだ。テスト自体はまだ2段階目までしか行われておらず、3段階目は2025年の秋から実施予定だ。

これら4つの「仕組み化」による改革の根底にはすべて、「お客様の声」がある。

「本当に1つひとつ、SNSの口コミもしらみつぶしに全部見て、細かな不満の声も良い声に変えることにこだわってきました。そのためには、従業員ががんばらなくても自然に解決できる仕組みをつくろうというスタンスでした」

些細なミスも許されない「家電製品の開発者」ならではのロジカルな発想と、細部まで物事を追求する姿勢が、さまざまな課題を解決に導いたのだ。

釜
要予約の「炎舞会席」では、ごはんが釜ごと提供される(写真提供:象印マホービン)

「冷めてもおいしい」を実現した弁当とおにぎり戦略

コロナ禍をきっかけにさまざまな改革を進めた象印食堂。巣ごもり需要を受けて、2021年には「冷めてもおいしい弁当」をテーマに、『象印銀白弁当』を新大阪駅にオープン。2022年には、大阪・梅田におにぎりに特化した『象印銀白おにぎり』を開店した。

象印銀白弁当
JR新大阪駅構内、中央改札すぐの場所にある象印銀白弁当(筆者撮影)

おにぎりに使うごはんにはやはりこだわっており、炊飯器の「炊き方」メニューを開発していた男性が担当。「炎舞炊き」に内蔵された121通りの炊き方から、「炎舞炊きの特徴である粘りがありつつも、ふんわりほぐれる」炊き具合を試行錯誤してみつけた。普通の炊飯器では実現が難しい、「炎舞炊き」ならではの炊き上がりだそうだ。

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