【日本人の2人に1人が予備軍】30〜40代に多い≪スマホ認知症≫の気になる症状 専門医が指摘「使用時間より使い方に問題あり」

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これを放っておけば、脳がアウトプットできる“質”も“量”も、低下していく一方だろう。決して無視できない症状ではあるが、内野医師は、何がきっかけで「スマホ認知症外来」を開設するに至ったのだろうか。

「30代、40代で物忘れを自覚しても、どこに相談すればいいかわからない、という方が非常に多いんです。いざ病院に行こうとしても、認知症外来は高齢の方ばかりで受診をためらってしまう。内科に行っても、“疲れてますね”で終わり、心療内科に行けば、“うつかもしれません”って薬を出されて様子見。でも、本人は“そうじゃない気がする”ってモヤモヤを抱えたままで、結局、行き場がないんです」

スマホ認知症外来は、働き盛りの世代の“駆け込み寺”

そこで、こうした“どこにも当てはまらない”記憶の不調にこそ、対応が必要だと考えた。もともと内野医師のクリニックでは「物忘れ外来」として幅広い世代の診療を行っていたが、「認知症」という言葉を使ってこなかったことには、強いこだわりがあるという。

「患者さんに、“私は認知症ですか?”って聞かれても、“違います、物忘れのプロです”って答えてます(笑)。診断名って、時にその人の生き方までも縛ってしまうから。私は、働き盛りの世代が気軽に相談できる“駆け込み寺”のような場所を作りたかった。『スマホ認知症』は、『認知症』やその他のワードと比べ、病院へのハードルをグッと下げてくれる最高の言葉だったんです」

その呼び名が広まったことで、患者の年齢層は一気に若返った。20〜40代の相談が増え、頭痛や美容目的で来院したついでに「物忘れも気になる」と話す人も少なくないそう。そして、その“気軽な通院”を機に、脳腫瘍や若年性認知症といった本当に治療が必要な病気が見つかるケースも。

このように「スマホ認知症」という言葉には、医療への窓口を広げる力がある。まずは、本人が抱えている不安をどうすくい上げ、根本的な不調の解決につなげるか。入り口は何であれ、まず病院に来てもらうきっかけを提供することが大事だったのだという。

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