「この新商品じゃダメだ。組み立て時間をあと2秒短くしよう」と侃々諤々…再攻勢へ「ドミノ・ピザ」新商品の開発で生じた"課題"

✎ 1〜 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 22
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

製造も、「ピザメイクマイスター」という、社内資格をパスした職人が存在する。彼らはピザに関する深い知識を持ち、約35種類のトッピングを記憶しているため、素早く正確に焼き上げることができるのだ。

ピザが完成した後も「秒単位」のロス削減は続く。ドミノでは、GPSでドライバーのいる場所を把握している。ドライバーがどこにいるかや、店に帰ってくるタイミングが把握できるからだ。そこに合わせてピザを準備しておくため、ドライバーはスムーズにピザを受け取り、また出発する。

そしてもちろん、新商品開発においても、「少しでも早く届ける」ハードルをクリアしなければならない。そのため開発時には、生地を伸ばしてトッピングを置く時間、焼成する時間、ピザボックスを組み立てる時間、箱に入れる時間などをすべて計測。従来のピザより時間がかからない形になるまで、何度もテストしオペレーションを変更するという。

ドミノ・ピザ ピザボックス
ピザボックスは、何度もテストが繰り返され、修正を重ねて完成した(筆者撮影)

冒頭に記載したとおり、ピザBENTO開発時には、ピザを入れるボックスが改良ポイントのひとつになったそうだ。「組み立て時間をあと2秒短くする」など、本部で検証が重ねられ、箱の仕様が何度も変更された。店舗でも、箱の組み立てにかかる時間と、「宅配中にピザが崩れないか」の検証が何度もなされたという。

「たかが2秒と思うかもしれませんが、されど2秒です。日曜や天候の悪い日など、忙しい日に2秒が積み重なると、深刻なタイムロスになります」とマーティンさんは話す。

一方で、2025年秋頃にはアプリを全面リニューアル予定だ。目標は、「注文時間を現在の3分の1にすること」。ボタンの使い勝手をよくしたり、読み込み時間を短くするなどして、オーダーにかかる時間を一秒でも短くする改良を重ねているところだ。客を待たせず、注文途中に「離脱」させないための工夫である。

入り口から出口まで。すべてにおいて“カイゼン”の手を止めない企業なのだ。

ドミノ・ピザ ピザボックス
差し込み式でさっと開け閉めができる仕様になっている(筆者撮影)

「常によりよくなること」にハングリーに

コロナ禍で急拡大した宅配需要が正常化し、外食産業全体が「ポストコロナ」と向き合っている昨今。その大きなうねりの中でもドミノは、商品、そしてオペレーションのカイゼンを地道に続けている。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事