製造も、「ピザメイクマイスター」という、社内資格をパスした職人が存在する。彼らはピザに関する深い知識を持ち、約35種類のトッピングを記憶しているため、素早く正確に焼き上げることができるのだ。
ピザが完成した後も「秒単位」のロス削減は続く。ドミノでは、GPSでドライバーのいる場所を把握している。ドライバーがどこにいるかや、店に帰ってくるタイミングが把握できるからだ。そこに合わせてピザを準備しておくため、ドライバーはスムーズにピザを受け取り、また出発する。
そしてもちろん、新商品開発においても、「少しでも早く届ける」ハードルをクリアしなければならない。そのため開発時には、生地を伸ばしてトッピングを置く時間、焼成する時間、ピザボックスを組み立てる時間、箱に入れる時間などをすべて計測。従来のピザより時間がかからない形になるまで、何度もテストしオペレーションを変更するという。

冒頭に記載したとおり、ピザBENTO開発時には、ピザを入れるボックスが改良ポイントのひとつになったそうだ。「組み立て時間をあと2秒短くする」など、本部で検証が重ねられ、箱の仕様が何度も変更された。店舗でも、箱の組み立てにかかる時間と、「宅配中にピザが崩れないか」の検証が何度もなされたという。
「たかが2秒と思うかもしれませんが、されど2秒です。日曜や天候の悪い日など、忙しい日に2秒が積み重なると、深刻なタイムロスになります」とマーティンさんは話す。
一方で、2025年秋頃にはアプリを全面リニューアル予定だ。目標は、「注文時間を現在の3分の1にすること」。ボタンの使い勝手をよくしたり、読み込み時間を短くするなどして、オーダーにかかる時間を一秒でも短くする改良を重ねているところだ。客を待たせず、注文途中に「離脱」させないための工夫である。
入り口から出口まで。すべてにおいて“カイゼン”の手を止めない企業なのだ。

「常によりよくなること」にハングリーに
コロナ禍で急拡大した宅配需要が正常化し、外食産業全体が「ポストコロナ」と向き合っている昨今。その大きなうねりの中でもドミノは、商品、そしてオペレーションのカイゼンを地道に続けている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら