映画【国宝】に感化され、10年ぶりに《歌舞伎鑑賞》したら凄すぎた! 歌舞伎座で“市川團十郎”の舞に酔いしれた「最高の平日」を徹底ルポ

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会場内は各フロアに案内所と売店があり、みたらし団子やたい焼きなど軽食類も豊富。イヤホンガイドを聴きながら散策していると、あっという間に時間が過ぎる。

案内員が各所にいて、不自由なく楽しめるように気を配っていることもあり、総合的に居心地のよい空間になっていた。

2演目二役の市川團十郎の舞が会場中を魅了

『七月大歌舞伎』
筆者が観劇した演目には、十三代目市川團十郎をはじめ人気役者が揃い踏みとなった(筆者撮影)

この日の演目『七月大歌舞伎』は、「新歌舞伎十八番」の4つの幕(「大森彦七」「船弁慶」「高時」「紅葉狩」)が上演され、3回の幕あいをはさみ、11時に開演して16時10分に終演。

約5時間の長丁場だが、昼の35分の幕あいのほか、20分の幕あいが2回あり、昼食やドリンク休憩を取りながら、トイレを心配することなく演目に集中して楽しめた。

「新歌舞伎十八番」は、近代歌舞伎の礎を築いた名優・九世市川團十郎が、史実にのっとった活歴物や新たな松羽目物を中心に制定した成田屋のお家芸。

この日は、十三代目市川團十郎(堀越寶世)、市川新之助(堀越勸玄)、市川ぼたん(堀越麗禾)のほか、松本幸四郎、中村虎之介、坂東巳之助など若手を含めて人気役者の揃い踏みとなった。

市川團十郎は「船弁慶」で静御前と新中納言平知盛の霊の二役、「紅葉狩」で更科姫と戸隠山の鬼女の二役。2つの演目で二役を演じ、それぞれの演目で役柄ごとに、清らかに流れるような“静”と、血が沸き立つような“動”の舞を披露。会場を魅了し、喝采を浴びた。

とくに「紅葉狩」の紅葉したもみじに囲まれる色鮮やかなステージでの市川團十郎の舞は圧巻だった。もみじ模様の赤い衣装から、菊の模様の白い着物への早変わりを披露すると、赤い鮮やかな扇子を2つ持つ、更科姫の2枚扇の華麗な舞へと続き、次第に鬼女の本性を現していく。そして、黄金に輝く美しさと、そのうちに狂気を秘める鬼女の衣装姿に早変わり。鬼女の激しい舞からつながる、ラストのまばゆいばかりの姿に心をしっかりとつかまれた。

歌舞伎座
歌舞伎座で市川團十郎の舞に心をつかまれた(筆者撮影)
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