牛カツ2社買収は英断か迷走か…カフェ座れない時代に“一人負け”のサンマルク。「パスタ」「牛カツ」などレストラン業態を拡大する切実背景
日本ソフト販売株式会社が発表している「飲食店チェーンの店舗数ランキング」の「カフェ・喫茶部門」では「ランキングの上半は増加し 下半は減少 大手への寡占化が進行か?」とされて、以下のように書かれている。
増加率が最も高いのは最大手の「Starbucks Coffee(4.8%・91店増)」で、「珈琲所 コメダ珈琲店(4.2%・40店増)」「タリーズコーヒー(3.5%・27店増)」と続きます。店舗数2位の「ドトールコーヒーショップ」は1年前と同数で変わりなし、となっています。
大手チェーンほど国内店舗数を伸ばしている点が特徴的です。
一方、最も減少率が高いのは「サンマルクカフェ(5.5%・16店舗減)」で、次いで「CAFE de CRIE(4.5%・8店減)」となっています。トップ10の下半に位置するチェーンは、2021~2024年版をみても全体的に減少傾向にあり、大手への寡占がジワジワと進んでいることを窺わせます。
これはカフェだけに限らず、他業種でもそうなのだが、食材費や人件費、賃料などさまざまな項目が値上がりする現在、小さい企業ほど(その極点が個人店だ)経営が厳しくなり、大きな規模を持つ企業ほどスケールメリットでさらに出店を伸ばしやすくなる。
本来、こうした話は個人店ーチェーン店という対立軸で行われるものであるが、全体として店舗数が多いカフェにおいては、チェーン店同士でもこの「寡占化」、もっといえば「大きなチェーンがますます伸びて、小さいチェーンはますます萎む二極化」が発生している。
話をサンマルクに戻そう。サンマルクはチェーンカフェの中では決して後発組ではない。けれども、店舗改装や不採算店舗の整理などで出遅れ、寡占化するチェーンカフェの一翼を担うことに失敗してしまったのではないか。そのため、鎌倉パスタや牛カツ業態などでの模索を行っていると考えられる。
一方で、「個性」という点でいえば、「チョコクロ」をはじめとするパンなどに強みがあることも確かで、今後はそうした点をいかに消費者に訴求できるかが重要になってくるだろう。
サンマルクHDの行方は?
……と、「鎌倉パスタ」に舵を切るサンマルクHDの現状について、カフェチェーン業界全体の流れを踏まえながら概観してきた。
ここでは、やや悲観的に書いたが、先ほども確認した通り、サンマルクHDは全体として業績が回復しており、不調なわけではない。特に、先ほども書いたようにサンマルクカフェに絞ってみれば、チョコクロなどの商品は根強いファンも多く、「サンマルクだから行きたい」状態を作ることができるコンテンツである。
その意味では、堅実な経営と魅力の訴求に努めていけば、勢いづくチェーンカフェ業態の中で確たるポジションを作ることは可能だろう。そうすれば、現在注力している「鎌倉パスタ」との相互作用でHD全体がますます活気付いていくはずだ。
サンマルクがHDとしてどのような舵取りを行っていくのか、注視していきたい。
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