牛カツ2社買収は英断か迷走か…カフェ座れない時代に“一人負け”のサンマルク。「パスタ」「牛カツ」などレストラン業態を拡大する切実背景

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すごいのは、この2社は現在の日本の牛カツにおけるリーディングカンパニーであること。まだそれぞれ店舗数は多くはないものの、今後牛カツ市場が伸びていったときに、市場全体を掌握する可能性もある。

いずれにしても、サンマルクHDによる長期的な目線での「喫茶依存からの脱却」は明確である。

一方で、好調なチェーンカフェ業態のナゾ

興味深いのは、このようにサンマルクHDが全体として、喫茶依存を減らしているのに対し、コロナ禍以後、特にカフェチェーンは軒並み好調であることだ。

現在、日本のカフェチェーンの店舗数トップ3といえば、スターバックス、ドトール、コメダ珈琲店だが、いずれもその経営は順調だ。

スターバックスは今年2000店舗目を銀座に出店し、国内飲食チェーンの中でもトップクラスに入る店舗数を構えている。2024年は過去最高売り上げも記録した。アメリカや中国でのスターバックスが不振であるのに対し、「日本だけなぜか好調」なのが疑問として持たれるほどである。

店舗の入り口
国内2000店舗を超えたスタバ。最近では紅茶専門業態を展開するなど、拡大に余念がない(筆者撮影)

ドトールを運営するドトール・日レスHDは、グループの中に複数のカフェブランドを持っている。ドトールはもちろん、エクセルシオール カフェ、カフェ コロラド、さらに日レス傘下には星乃珈琲店、OSLO COFFEEなどがある。

珈琲
ドトールは、フルサービスが特徴の「ドトール珈琲店」を拡大中だ(筆者撮影)

グループ全体の店舗数はスターバックスを超えており、業績も好調である。特に単独ブランド数で比較すれば、昨年から今年にかけて、星乃珈琲店がサンマルクカフェを抜かしたことも特筆に値するだろう。

さらに、目を見張るのがコメダ珈琲店の躍進である。7月19日には、いよいよ1000店舗目が東京・新橋に開業。ここ10年ほどでの躍進がすごく、日本全国津々浦々でコメダ珈琲店という看板を見るようになった。最近の決算では過去最高益も叩き出している。

コメダ珈琲店
東京23区の初進出は2007年と、意外と遅かったコメダ。しかし、今では大人気で、珈琲系チェーンを牽引する存在になった(筆者撮影)

これらを考えると、今のサンマルクは「一人負け」に近い状況と言えるのだ。

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