客観的報道ができてなくて当たり前。メディアのお客様は視聴者ではない。ネットやSNSも例外なく収益を広告に依存する不都合な真実

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メディアの報道について、僕たちが気をつけなければいけないものは後者にある。メディアが客観的事実に主観的な編集を加えて伝達するケースだ。

収益構造が変わらないかぎり

メディアが客観性を失い、主観的で偏ったものになってしまうのは、はっきりいって収益構造のせいだ。新聞社やテレビ局はどのようにして維持されているのか? 広告収益によってだ。企業の広告を流してその対価をもらい、収益をあげることで会社が成り立っている。

数億円を投資した大ヒットドラマが無料で見られるのも、テレビ局が大衆からお金を受け取らずともアナウンサーや記者たちに給料を払えているのも、ただひたすらに広告のおかげだ。

メディアが売っているのはドラマやバラエティー番組ではない。メディアにとってのお客様は“僕たち”ではない。商品を購入する顧客は企業だ。企業は視聴率を買い、メディアは視聴者を企業に売る。とくに大企業の広告は、新聞社とテレビ局の生存に直結する。

そんなわけで、新聞社とテレビ局が大企業の利益に反する立場や批判的な内容を報道するのは現実的に考えて難しい。だからメディアは大企業の不正には消極的な態度を示し、成果は大げさに報道する。

また、リベラルな政府が税金と規制を強化するなど、企業の利益に反する制度を施行すると、誰に言われたわけでもなく、みずから率先して批判する。

結果的にメディアは「客観的事実の伝達」という義務を放棄し、政府の市場介入に反対することで、企業と資本家の利益を代弁する保守的な傾向を見せるようになる。

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