「共同通信がグーグルの生成AIにニュース提供開始」に潜む構造リスク、ますますメディアの経営を厳しくしかねない

筆者は有力コンテンツメディアで組織された「クオリティメディアコンソーシアム」の事務局長としてウェブメディアの価値を生かしたデジタル広告事業を推進している。新聞社、雑誌社、テレビ局など国内32社150のメディアとともにデジタル広告が抱える課題を解決する広告商品を展開しており、日々、多くのメディアの幹部と情報交換をする機会がある。
2024年の後半以降にとくに感じるようになったのが、有力メディアであっても収益面で非常に厳しくなっていることだ。端的に言えば、広告収入の源泉であるメディアパワー、すなわちページビュー(PV)の減少に悩むウェブメディアが急増している。
四面楚歌のような状態に
PV減少の原因は数多くあるが、主なものだけでも4つある。1)検索エンジンからメディアへの誘導が減っている、2)ソーシャルメディア(SNS)がニュースメディアを排除している、3)インフルエンサー、プロYouTuberの影響力増大でニュース利用自体が減少している、4)ヤフーニュースがメディアの選別を強めている、の4つだ。文字どおりの四面楚歌である。

それぞれについて見ていこう。
まず、検索エンジン問題。2024年夏頃から多くのメディア運営社から「Google Discover(スマートフォンなどでコンテンツを表示する仕組み)にうちの記事が選ばれにくくなった」との話をよく聞くようになった。グーグルが繰り返し行っているアルゴリズム変更によって、ウェブメディアへのトラフィックが減少しているようだ。
これに加えて深刻になっているのが、生成AIによる影響だ。グーグルで検索をすると冒頭に「AIによる概要」が掲載されるなどAIを多用し始めている。検索エンジンに生成AIが導入され、知りたい内容が検索結果にそのまま表示されるようになると、検索エンジンは経由地ではなく目的地になってしまう。当然、参照元へ飛んでこなくなるため、ウェブメディアにとってもPVが落ち込む原因になっている。
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