【朝ドラ】やなせたかし「グズグズしてたら恋敵が現れた」やっと動き出した運命の歯車

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ところが、少しでもグズグズしていると、昨日今日現れたぽっと出の相手にササっとかっさらわれてしまうのが、恋愛の世界だ。小松記者にも求婚する男性が現れたというから、やなせもさぞ焦ったことだろう。

心にもないことを言ってしまったやなせ

やなせは、どのようにしてライバルの存在を知ったのか。

あるときから、職場にいる小松記者のもとにやってきては、夏はスイカ、秋はミカンと何かとお土産を持ってくる女性が現れた。やなせは「あの女性は誰なのだろう?」と思い、小松記者にたずねても明確な答えは返ってこない。

そんなあるとき、やなせが小松記者と街に取材に出ていると、長身の紳士が現れて、小松記者に丁寧に挨拶をした。顔を紅くしてやたらと急ぎ足でその場を去った小松記者に、やなせはなんだか嫌な予感がしたに違いない。

「ほら、よくスイカをもって編集室へやってくる女の人がいるでしょう。あの人のお兄さんなの」

そう事情を説明されて、やなせが「知ってる人?」と聞くと、小松記者の口から衝撃的な事実を聞かされる。

「あの人に求婚されているの」

聞けば、その紳士と小松記者の出会い方が普通ではない。

広告の集金係だった小松記者が、なかなか支払ってくれない商店主に対して、「はっきりしてよ。払うの払わないの」とハンドバッグを投げつけたことは、前回の記事で書いた。

その勢いに商店主も広告料の支払いに応じたというから、よほどの剣幕だったのだろう。周囲の注目も集めたようで、その場面を目撃したのが、この紳士だった。

外国暮らしが長かったため、小松記者の日本人らしからぬパッションに、その紳士は心を奪われたらしい。しばらくして、スイカをよく持ってくる女性が、小松記者のもとに現れて「兄と結婚してください」と言い出したのだという。

いろんな出会いがあるものだが、すでに小松記者に恋をしているやなせからすれば、たまったものではない。小松記者は、プロポーズされた経緯をやなせに説明すると、「どうしようかしら?」と問いかけた。

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