「若い女性がターゲットのカフェでしたから、そりゃそうやなと。僕がスタッフでも、『なんでおまえが1人目の客やねん』と思うでしょうね。
でも、1人目の客を意識して並んだ最初の店だったので、諦めたくないなと思って並び続けました」
30分ほど待って、涌井さんは無事このカフェの1人目の客になれたという。
「開店した途端、怪しいおっさんが『お客さん』に変わり、スタッフのみなさんがフレンドリーに接してくれる。その切り替わりも面白くて」
仕事は前倒しで終わらせて趣味の時間を捻出
以来、開店情報をキャッチすると、スケジュールと照らし合わせて並ぶかどうかを決めて、1人目の客になることを続けている。開店情報は「開店閉店.com」のほか、街を歩いているときに見つけたり、涌井さんの趣味を応援する友人知人が教えてくれたり。
予算は特に決めていない。ただ、単価の高すぎる高級なお店は最初から諦めることもあるし、月末には「高めのお店だし、今回はやめとこう」という判断をすることもある。
並ぶ店も限定していない。自宅と職場のある京都市の飲食店が中心だが、コンビニや量販店、大型商業施設、屋外イベントのオープン、美術展の開幕、動物園の年明け最初の開園日、選挙の投票所に並ぶこともある。

ただし、1時間以上は並ばないと決めている。これまでの経験から40分前に着いておけば1人目の客になれる確率が高いとわかったため、40分前に店の前に着くように時間をやりくりする。
開店日が涌井さんの休日とは限らないし、仕事がある平日の昼間に開店する店も多いだろう。どうやって趣味の時間を捻出しているのだろうか?
「私の場合、やるべき仕事が終わっていれば、時間の使い方は比較的自由なんです」
涌井さんの仕事は、ラジオ番組の台本書きや番組内でかける音楽の選曲、番組の収録・編集、ネタ探しなど多岐にわたる。生放送や収録の時間帯は局にいなければならないが、決まった就業時間はなく、どこで仕事をしてもいい。だから、仕事のやりくりがうまくいけば平日11時開店のお店に並ぶこともできるのだという。
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