31歳「銀座の女」は大人としての生き方を学ぶ 一回り年上「禁断の恋人」が手ほどき
生まれた街から、就職を機に越してきた綾。
秋田の国立大学を出た綾が、地方銀行を強く勧める親をなんとか説き伏せて東京の某アパレル企業の総合職として就職。三軒茶屋の1Kに住み、仕事に邁進するうちに、仕事ぶりを評価されてブランドマネージャーに抜擢されたのが28歳。それを機に、5年間住んだ三軒茶屋を離れ、恵比寿に住んだ綾は、スポンジが水を吸収するかのごとく、街の華やかさを吸収しどんどん美しくなっていった……。
女は30歳を前に、一度立ち止まる
20代後半頃から、同期が1人また1人と、会社を辞めていきました。辞める理由はいろいろありますが、病んでしまった子もいれば、転職をした子もいます。気付けば、同期は半分に減っていました。
三茶のカフェで夜通し、仕事のやりがいについて語った同期からは、労働時間とお給料のバランスの悪さの不満が漏れるようになっていたし、夜遅くまで担当ブランドのDMを一緒にアセンブリした同期も、気付けば寿退社してしまいました。たしかに、日本のアパレル企業のお給料は安すぎるとは思います。最近だと、海外のファストファッションブランドが流れ込んで業績も低迷し、ボーナスだってほとんどないに等しい。恵比寿に住みながら、華やかな街の恩恵を思う存分堪能できず悔しい思いもたくさんしました。
女は30歳を前に、これまでの自分の働き方を振り返って、この道でアクセルを踏むのか、ハンドルを切って方向転換するのか、はたまた、キャリアをストップさせて別の生き方を選ぶか、選択を余儀なくされるものです。
例に漏れず、私もとりあえず、転職サイトに登録してみました。その時は、本気で転職しようなんて思っていませんでしたし、同期たちも皆“とりあえず”登録していたんです。