31歳「銀座の女」は大人としての生き方を学ぶ 一回り年上「禁断の恋人」が手ほどき
けど、そこで大きなチャンスが巡ってきました。誰もが知っている外資系宝飾品ブランドのPRマネージャーのポストです。秋田から越してきた私が、「まさか、通るはずがない」って心の中で思いながら、万が一……に淡い期待をして、面接を受けてみたんです。
外資系って日本と違ってお給料も破格なんですね……。新規ブランドを立ち上げて成功させた経験を買われて、お給料は、約2倍の年収700万を提示されました。こんな夢みたいな話、飛びつかない方がおかしいですよね。善は急げと、翌月には辞表を提出しました。
辞めることと、転職先を伝えると、上司は最後まで目を合わせてくれませんでした。それが半年前のことです。
恵比寿から銀座へ、引っ越しを決意するきっかけ
転職して1年。31歳になって、月給50万円に、ボーナス。
秋田から出てきて8年。本社は銀座。まさか、この私が、あの外資系ブランドで働くことになるとは思いませんでしたね。母に言ったらびっくりしていました。
入社1週間後に、新しい上司から『資生堂パーラー』でランチをご馳走になりました。まるで、プラダを着た悪魔のアナみたいな、すごくおしゃれで、クールな45歳の女性です。細身で、真っ黒の髪をショートカットに刈り上げていて、ビジューのたっぷりついたピアスに、真っ黒のノースリーブのカシミアニット。その出で立ちは、もう、かっこいいの一言です。
その女性に住んでる場所を聞かれて「恵比寿です」と言ったところ、あぁ、って苦笑いされました。そして、「若いお姉ちゃんたちが住んでる街ね」って笑われたんです。私にとっては、華やかな大人の街のイメージだったから一瞬面食らいましたが、確かに、31歳になって、恵比寿を見てみると、赤文字系ファッションに身を包んだ「これから合コンです!」って感じの女の子が多いことに気付きました。
恵比寿に住んでた頃、渋谷に感じた感覚と似ているのだと思います。その人曰く、恵比寿に住むのは20代までだそう。「若いうちは背伸びして、一流のものに囲まれて暮らしなさい」と言われました。
それを聞いて、恵比寿から引っ越しました。仕事場に近いからという理由もありますが、やっぱり、上司から言われたことがひっかかって……。最寄駅は京橋駅の銀座一丁目ですが、一応、"一流の街"銀座です(笑)。
家賃は恵比寿時代と変わらず、13万円。最初は、上司のいう一流のものがわからなかったけど、その人の行動をお手本に真似するようになって、やっと最近30歳を超えた大人の女の流儀がわかるようになった気がします。