31歳「銀座の女」は大人としての生き方を学ぶ 一回り年上「禁断の恋人」が手ほどき
彼は、歌舞伎座と、桟敷席の愉しみ方を教えてくれました。荘厳な外観は銀座の街中でも一際存在感がありますよね。彼は、歌舞伎座が数年前にリニューアルされたことを、すごく残念がっていました。
「女性が30歳になったら、歌舞伎デビューくらいしていないと」と彼は私を桟敷席に連れて行きました。贔屓の役者への掛け声のかけ方や、お弁当の取り方とか、いろいろなルールがあるんですね。最初に、その人に桟敷席に座らせてもらったときのあの、ワクワク感は今でも覚えています。幕間に席までお弁当が届けられるのも知らなかったお子様ですから(笑)。
歌舞伎も銀座も、まだまだ知らないことだらけですが、最近は、あまり物怖じしなくなってきたと思います。
『ウエスト』のリーフパイは有名ですが、本店が銀座外堀通り沿いにあるんですよね。カフェというよりは喫茶店って表現の方が似合うレトロな空間。ここも、彼に連れてきてもらったところのひとつ。入り口のキャビネットには昭和20年代に演奏されていたクラシックレコードがぎっしりで、そこだけまるで時が止まったみたいです。
プレゼントは『和光』で買ってる
あと、銀座四丁目の交差点にある銀座のランドマーク『和光』もさすがですよね。時計や、宝飾品は、仕事がらまめにチェックしてるけど、『和光』オリジナルのものや、国内外から厳しい目で選び抜かれた、高い品質の商品は、うっとりするものばかり。
上司も、クライアントへのちょっとしたプレゼントは、全部『和光』で買うって言ってたのを聞いてから、私も、真似していますが、年上の方や、年配の方へのウケは抜群です。長い歴史と伝統の中で培ってきただけあって、店内に一歩踏み入れるだけで、こちらの背筋もぴんと伸びる気がします。
上司が言ってた「30歳を超えたら、一流のものに囲まれて暮らしなさい」って言ってた理由が最近わかるようになってきました。『ウエスト』の本店も『和光』も、正直、メイクが雑な日やファッションが適当な日は気軽に入っちゃいけない気がしますが、その緊張感が女にハリを与えるんだなと思います。お手軽なものに囲まれてたら楽だけど、低きに流れて、どんどん老けて怠惰になっていっちゃいますからね。