親が「元気なうちは不動産を売らない」が引き起こす問題、解決に導く「発想の転換」。「元気で、余裕があるからこそできる」ことに目をむける

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「別の視点」「発想の転換」として筆者が提案するのは以下の3つです。

①「親がまだ元気だからこそできること」に着目する
②「時間に余裕があるからこそできること」に着目する
③「生前贈与や貸付で得た現金、収入をどう使うか」を約束する

本記事では、①と②の一部を紹介します。

家族の絆を深めることにお金を使う

①「親がまだ元気だからこそできること」に着目する

親が元気なうちは、「判断力」「決断力」「実行力」があるため、自らの意思でさまざまなことを決め、実行することができます。しかし、「無気力」「寝たきり」「認知症」といった状況になってしまうと、それらを行うことが非常に難しくなります。

だからこそ、元気なうちに実行することが大切です。親が健康で自由に動ける今だからこそ、打つべき手を打てるのです。

たとえば、現金や収入を増やして次のようなことに取り組むことで、親自身の生活を豊かにするだけでなく、家族との絆を深めることにつながります。

●家族旅行に子どもや孫を招待し、一緒に思い出をつくる

●趣味を今までより上の次元で楽しんだり、新しい趣味を始めたりする

●住まいをより快適なものにする

●長年寄り添ってくれた配偶者の長年の願いを叶える

●食事が美味しく快適な有料老人ホームの入居金を準備しておく

こうした取り組みは、親自身の生活を充実させるだけでなく、家族にとっても大きな喜びをもたらします。人に喜ばれたり、感謝されたりすると、誰だって嬉しいものですし、活力がみなぎるようになります。

「もうあとは死ぬだけ」とおっしゃっていたある83歳の方は、一部の不動産を売却して現金化したことで生活が一変しました。自宅を建て替え、家族を招待して旅行を楽しむようになり、孫と接する機会も増えました。

その結果、顔の血色が良くなり、表情も柔らかくなり、「日々を充実して過ごせるようになった」と感謝の言葉をいただきました。

②「時間に余裕があるからこそできること」に着目する

たとえば、ご本人が90歳を超え、いつ相続が発生してもおかしくない状況と、まだ70代でこれからも長生きが期待できる状況とでは、取れる選択肢や実現できることが大きく異なります。

比較的元気なうちに資産を動かすことで、次のように長期的な利益を得られる可能性も高まります。

●年間500万円の収入増→10年で5000万円、20年間で1億円

●年間1000万円の収入増→10年で1億円、20年間で2億円

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