あなたのウソは、だいたい見破られている ボディランゲージに現れる不都合な真実

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確かに、前述の10のしぐさは緊張した時、心が動揺した時などに現れる。しかし、だからといって、このしぐさがウソをついている証拠とは言い切れないのである。

こうした動作が即、ウソをついている、ということを証明するものではなく、いつもと違う動作、所作が連続して起こることが要注意サインということらしい。

結局、ボディランゲージでウソを見分けるのは相当難しい、ということのようだが、実はかなり確度の高いウソ発見法があるという。今回はこの方法を3つの黄金則としてご紹介しよう。

ウソを見破る三原則

(1) YES、NOで答えられるクローズドクエスチョンではなく、オープンクエスチョン、つまり、相手が自由に回答できるような質問で聞く。

たとえば、恋人の浮気を疑っている人は「あの人のことが好きなの?」ではなく、「あの人のことをどう思っているの?」と聞いてみる。オープンクエスチョンはシンプルに答えにくいため、いろいろと、しどろもどろ弁解していくうちにボロが出る可能性がある、というわけだ。

(2)サプライズの要素を入れてみる。

まったく思いがけない質問で不意を突いて、相手の反応を見る。また、時系列で説明されたら、巻き戻して、直近で起こったことから過去にさかのぼるように説明してもらう。ウソをついている人は過去から現在までのストーリーを頭の中で必死に作り上げていくが、実際に起こっていないことを、時間をさかのぼって正確に記述するのは難しい。

(3)三人称に要注意。

ビル・クリントン元大統領は浮気を疑われ、「私はあの女性(that woman)とはそういう関係にはない」と否定した。名前を出さずに、三人称を使い、自分と疑惑の対象を切り離すような表現は、怪しいサインと言えるらしい。「そういうこと」とか「そういう人」といったように、代名詞を多用し、対象をぼやかして説明するような表現法は要注意と言える。

ボディランゲージは強烈無比な印象形成力、影響力を持つが、ウソ発見に関する限り、決定的な証拠になるとは言い切れなさそうだ。今のところ、相手の言葉に注意深く耳を傾ける「アクティブリスニング」が、相手の本音を見通す近道ということになるのだろう。

とはいえ、一方でウソを見抜くテクノロジーの開発は着々と進められている。米国土安全保障省は、空港などでテロリストなどを発見するために、声のトーンや体温、ボディランゲージなどからウソを見破る「未来属性診断テクノロジー」の開発を進めており、70~80%の正確性を期することができるようになっているという。

「ウソはそう簡単には見破られない」という結果に安心しているそこのあなた、ほっとするのはまだ早いかも!?

岡本 純子 コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

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おかもと じゅんこ / Junko Okamoto

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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