余談だが、ピクサーが今年公開した『インサイド・ヘッド』という映画がある。人がいかに感情に支配された生き物であるか、記憶はどのように形成されるのか、など脳科学的な知見も数多く取り入れた興味深い作品だ。主人公の女の子の頭の中の感情が5人のキャラクターとなって登場しているが、これらはエクマン氏の研究をもとに設定されたと言われている。
また、最近、Facebookは「いいねボタン」のバリエーションについて、Like だけではなく、Love、Haha(面白い)、Yay(やったね!)、Wow(驚き)、Sad(悲しみ)、Angry(怒り)という気持ちを表すスタンプを一部の国で試験導入した。「Facebook上の書き込みを徹底的に分析し、最も普遍的な感情を選んだ」そうだが、これらもエクマン氏のカテゴリーと一致するところが多い。あえて、Disgust(嫌悪)とFear(恐怖)を外したのは、このプラットフォームからできるだけ「負の感情」を排除したい、という思いもあるのだろう。
話はそれてしまったが、つまるところ、エクマン氏の研究の影響力はそれほどに大きいということなのだ。「Lie to Me」の中で出てくる、エクマン流のウソの見破り方は、たとえばこんな感じだ。
―「やっていない」と言葉では否定しておきながら、頭はうなずくようなしぐさをしている場合、言葉で否定できても、身体が正直に反応しているということであり、ウソをついている。
―相手の手を握ってみて、異常に冷たければ恐怖心、熱ければ怒りを持っている。
―これから重大な犯罪を犯そう、と考えている人は犯行の直前、共通の表情をする。
ウソをついている時のボディランゲージ
アメリカのボディランゲージのスペシャリストや心理学者などの説によれば、ウソをついている人の典型的な特徴には以下のようなものがある。
ビル・クリントン大統領がモニカ・ルインスキーさんとの不倫を疑われたとき、自らの潔白を訴える場面で鼻の横をかくようなしぐさがあったことなどを挙げ、専門家は「身体はウソをつけない」と主張している。
しかし、それは本当か。真偽を証明するために、実に多くの研究が重ねられてきたが、結論は「99%の人にとって、ボディランゲージでウソをついているかいないかを言い当てられる確率はほぼ50%」というものだ。つまり、コインを投げるのと同じ程度でしかなかったという。
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