「人生がどうなるかは自分次第」と考える人は、個人主義のレンズを通して自分の人生を眺め、妄想的な世界観を抱いている

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就職活動で企業の面接を受ける大学生たち
キャリアや伴侶など、私たちは自らの選択によって人生を築き上げていると考えがちですが、それは個人主義がもたらした妄想です(写真:8x10/PIXTA)
あなたの人生は偶然がすべて。この世界は成り行きの産物であり、ありとあらゆる物事を、偶然が支配している。成功や失敗も、進化も歴史も、小さな偶然の積み重ねに左右されている。なのに、なぜ私たちはそこに理由や目的、秩序があると信じてしまうのか? このような世界を生きることに、どんな意味があるのだろうか?
私たちは何もコントロールしていないが、あらゆることに影響を与えていることに気づかされ、静かな感動を呼ぶ書、『「偶然」はどのようにあなたをつくるのか:すべてが影響し合う複雑なこの世界を生きることの意味』より、一部抜粋・編集のうえ、お届けする。

人生を変えた偶然の巡り合わせ

「偶然」はどのようにあなたをつくるのか: すべてが影響し合う複雑なこの世界を生きることの意味
『「偶然」はどのようにあなたをつくるのか』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

誰もが後から振り返れば、自分の人生を変えた偶然の巡り合わせの1つや2つには思い当たるはずだ。

それは、未来の伴侶との思いがけない出会いや、キャリアの志望を新たな情熱の対象へと向かわせることになった高校の科目の履修といった、昔からよくある転機だったかもしれない。

あるいは、急ハンドルを切って命拾いしたニアミスだったり、家かアパートを購入しようと思って気前の良い金額を提示したのに断られたら、たまたま段違いに良い物件に出くわして、それが今の我が家になったり、といったことだったかもしれない。

そうした瞬間が際立っているのは、それが明らかに重大な結果につながったからだ。

私たちは、あのときああしていなければどうなっただろう、と思いを巡らせる。あのとき、別の道筋があったことは間違いない。

何かが1つでもほんの少し変わっていたら、今の配偶者と出会わなかったり、情熱を傾ける対象が見つからずじまいになったり、ニアミスが致命的な事故に変わっていたりしうるのだ。

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