そんなふうに学んでいった真奈さんの日常はどのように変わったのでしょうか。
「自分を許して寛容になったかな。私は掃除や料理が苦手だけれどそれでいいやって(笑)」
お母さんが完璧だったこともあり、以前は「母親としてちゃんとしなければ子どもの情緒が育たない」とできない自分を責めていた真奈さん。でも、「苦手なら苦手でいい。できなくてイライラするよりは笑って過ごしたほうがいいな」と考えが変わったそうです。
「子どもはできない私を認めてくれていたのに、私が私を許せていなかったんですね」
「誰よりもまず自分ことを認めてあげよう」。そう思った真奈さんは今、「ちょっと自分を甘やかしている」と言います。これまで我慢していたけれど、自分が食べたいものを食べたり、少し高くてもおいしいと感じるものを買ったり。パーソナルトレーニングも始めて「いつか富士山を見に行く」という楽しみもあると話してくれました。
「私はこれまでずっと子どものことを心配するばかりで、自分の人生を見つめていませんでした。でも考え方が変わって行動が変わると新しいできごとがやって来るんですね」
変化する勇気で子どもが変わる
「子どもをきちんと育てなければ」と親が責任を負うがあまり、子どもの可能性をつんでいることがあります。

私の場合、うすうす気づいていても、それを認めるのが怖くて見て見ないふりをしていました。
しかし、真奈さんは、自分に必要な気づきを素直に受け入れる勇気のある方でした。真奈さんの変化が早かったからこそ、息子さんは希望の大学に向けて独学で受験勉強を始められたのだと思います。
真奈さんとのお話の中で印象的だった言葉があります。
「アドラーが『子どもには自分の人生を生き抜く力がある』と言っていますが、すべての経験はその子の糧になり、豊かな価値観や人として深みのある大人になっていくと思います。これからの息子が楽しみです」
そうほほ笑んで話す真奈さんを見ていると、お父さんにしてもらったことを今度は真奈さんが息子さんにしているんだなと、引き継がれていく親子の愛をしみじみ感じました。
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