部下から慕われるリーダーと嫌われるリーダーの決定的な差。60代のトップが20代の若者から「教えを請う」ことの大切さ

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松下電器(現パナソニック)の創業者、松下幸之助氏について書かれた書籍は世の中に多く出版されていますが、幸之助氏を身近に見てきた方々が書かれている書籍を読んでいると、幸之助像を表す言葉として「素直」という言葉が頻繁に出てきます。幸之助氏は「素直な心」という言葉を愛用されていたようです。

そして、彼が創設したPHP研究所からは「素直な心になるために」という本も出版されています。

幸之助氏は「素直な心」を次のように定義しています。

「素直な心とは、寛容にして私心なき心、広く人の教えを受ける心、分を楽しむ心であります。また、静にして動、動にして静の働きのある心、真理に通ずる心であります」

「素直」と「謙虚」は同義

幸之助氏を書いた各書で書かれている「素直」というのは、まさにここでいう「謙虚」と同義ですし、幸之助氏の没後、世界中のリーダーシップ論で盛んに言われるようになってきた、オーセンティックリーダーシップ(Authentic Leadership)の考え方と重なるところも大きいといえます。

もう少し、幸之助氏の具体的な言動から確認してみます。

幸之助氏が社長時代、新入社員が話しかけてくると、その新入社員の話を、立ち止まって最後まで真剣に聴いていたといいます。

「社長、忙しいのに、なぜそこまで真剣に新入社員の話を聴くのですか」と問われると、幸之助氏は「私は60年生きてきて、彼は20年しか生きていないかもしれないけれど、私は彼の20年を生きていない。だから、私も彼から学ぶものがあると思っている」と答えられたといいます。

「良い人になりましょう」とか、「優しい人になりましょう」ということではありません。VUCAの時代にビジネスを成功させるために、リーダーに求められるコンピテンシーとして、「謙虚」が不可欠だということが言いたいのです。

この情報過多の時代だからこそ、好奇心を持ち、謙虚な姿勢でいないと、まず情報が入ってきません。

最近の若者のほうが面白いことを知っているかもしれません。彼らから多くを学ぼうとするなら、聴きたい、教えてほしい、という謙虚な姿勢が必要です。

特に会社のような社会組織の中では、上下関係があります。普通にしているだけでは、部下は上司に話をしてくれません。上司は責任と権限を有しており、上司と部下というのは、評価者と被評価者です。

だからこそ、上位(指揮命令権を有している)であり評価者である上司や先輩は、「私は君から学びたいんだよ。教えてほしいんだよ」という謙虚な姿勢が必要です。

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