「こんな所に人が来るの?」と言われたが…。過疎の山奥にある「道の駅」で"バカ売れ"する草だんご。《小さな自治》精神が集客の秘訣だった!

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また、生産者の高齢化もですが、気象条件が以前と変わってきて、今まで取れていたものが取れなくなったり、そういった影響も今後出てくるのではと危惧しています。

今年は梅が不作なので、梅干しがあまり作れません。梅は去年も不作で、不作の翌年は収穫できるのが今までのパターンでしたが、不作が2年連続になってしまいました。また、今年の冬は柑橘類も不作で、これは私が道の駅に勤めるようになった24年間でも初めてのことでしたね。

―農業にも漁業にも、気象条件の影響がじわじわ出てきているお話しをいろんなところで伺いますね……。

花を植えて、人を呼ぶ

―それにしても、ご高齢の生産者の方が多く活躍していらっしゃるのですね。

何かを作ったりしている人たちはご高齢になっても元気ですね。楽しそうで、生き生きしています。

いつも地域の方と一緒に道の駅周辺の景観形成で花を植えたりしているのですが、90歳ぐらいのおじいちゃんが体力は私たちよりあるんじゃないかってくらいお元気で。

―今景観形成とお話しされましたが、酒谷地区は四季折々の花や棚田など、風景の美しい土地ですよね。地域の人の地道な努力あっての美しさなんですね。

霧の中の棚田
霧の中の棚田は幻想的な雰囲気。夏にはひまわり、秋には彼岸花を植えて田園風景を彩る(筆者撮影)

酒谷地区では昔から沿道沿いに花を植えたりする地域美化の取り組みをしていました。約20キロの街道沿いには四季折々の花を植えていて一年を通して花が絶えません。春は桜に梅、ツツジ、夏はアジサイ、ひまわり、秋は彼岸花、コスモス、蕎麦の花を楽しめます。秋には紅葉も美しいですよ。

特に桜の季節は人気で、1月末の早咲きの桜から4月のソメイヨシノまで長い期間桜が楽しめるんです。

季節の風景があることで、お客様は特別なイベントがなくてもこの道の駅を訪れてくれます。そばを食べて、地元の野菜や草だんごを買って、棚田を歩いたりして、ゆったり楽しんで帰られる方が多いですね。

―地元の方たちが取り組んできた地域美化活動が、道の駅の集客にもつながっているんですね。

私たちはずっとここに住んでいるので、外の人から「わざわざ来てもらえる魅力」が何なのか時にはわからなくなることもありますが、来てもらうためのこの土地の良さをどう生かしたらいいのかは常に意識しています。

道の駅の建物もこの山間の風景に調和するように茅葺き屋根にしました。ここに来て楽しんでもらえたらうれしいですね。

バラ、ツツジ
駐車場の花壇にも、バラやツツジが花を咲かせていた(筆者撮影)
【画像を見る】山奥で行列ができる名物の草だんごはこんな感じ! 葉わさびやおにぎり、地元で採れた山菜たっぷりの棚田そば980円なども大人気な道の駅の様子

山奥の道の駅で丁寧に作られる草だんご、その人気の裏には、地域の資源に根ざした知恵と工夫、そして「ここにしかないものを届けたい」という真摯な思いがある。

派手さはなくとも、人の手で丁寧に作られたものが、遠くから人を引き寄せる。酒谷の草だんごは、そんな地域の静かな底力を教えてくれる。

【もっと読む】人口47人・限界集落で盛況する「峠の茶屋」。「あそこの灯が消えるとき、集落も終わる」地域の総合商社の”超多角化経営”が凄すぎた では、限界集落・南さつま市坊津町秋目で繁盛する「がんじん荘」の凄さについて、在鹿児島ライターの横田ちえさんが訪問、豊富な写真とともに詳しくお伝えしている。
横田 ちえ ライター

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よこた ちえ / Chie Yokota

鹿児島在住。WEB・雑誌での執筆のほか、企業のオウンドメディア運営やパンフレット製作など幅広く活動。日ごろから九州を中心に全国あちこちを巡り、取材テーマを模索している。最近特に力を入れているテーマは離島や温泉。

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