「こんな所に人が来るの?」と言われたが…。過疎の山奥にある「道の駅」で"バカ売れ"する草だんご。《小さな自治》精神が集客の秘訣だった!

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草だんごは併設の加工場で作られており、売り場に補充するたびにあっという間に売れていく。その光景は、山奥の静けさとは対照的な賑わいを見せている。

いったい、なぜこの素朴な草だんごが、これほどまでに人を惹きつけるのか。その味の秘密、そして誕生の背景にあった物語をじっくりと聞きたいと思い道の駅酒谷を訪ねた。

人が来ないなら「来たくなる理由」を作る

野邊和美さん
道の駅・駅長の野邊和美さんが対応してくれた。道の駅の立ち上げから4年目に入社(筆者撮影)

―名物の草だんごはいつからどのような考えで作られたのですか?

道の駅酒谷ができたのが1997(平成9)年でした。

山奥の何もないところで交通量も多くないので、当初「こんなところに人が来るの?」と心配されていました。だからこそなにか名物ができればお客様がここに足を運んでくださるのではと考え、地元酒谷地区の人が作っていた草だんごを出すことにしたようです。

すぐに人気商品になり、原料や製法の進化を重ねながらやってきてもう30年近くになります。

草だんご
ふんわりと香るヨモギに柔らかい生地の食感、そして粒あんは滑らかで小豆の風味が生きている。シンプルな草だんごだからこそ、素材の味と手作りの丁寧さが際立つ(筆者撮影)

―草だんごの味の秘訣は?

ヨモギの質です。使用するのは地元産のヨモギ、それも「早春から5月中旬まで」のものに限っています。その時期のヨモギは柔らかくて香りが良く、草だんごにしたときの口当たりが全然違います。このわずかな期間で収穫したヨモギを、仕込みをして一年かけて使います。

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