「こんな所に人が来るの?」と言われたが…。過疎の山奥にある「道の駅」で"バカ売れ"する草だんご。《小さな自治》精神が集客の秘訣だった!

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―冷凍ではない、その時期の旬の山菜がたっぷりな蕎麦とはなんともぜいたくですね! 

そもそも、道の駅酒谷は、地域の活性化の拠点として誕生しました。

交流拠点としてはもちろん、地域の人の所得の向上や雇用も目的としていまして、ここで働いている約20名のスタッフもほぼ酒谷地区の住民なんです。そして青果や加工品を届けてくれる酒谷地区の生産者は約100名います。

酒谷地区は世帯数がもう500を切っているのですが、約135名(スタッフ20名、委託販売100名、よもぎ生産者15名)とかなりの割合の方がこの道の駅と深い関わりを持っています。

(※日南市住基台帳によると、令和6年1月1日時点での酒谷地区の人口は819人、世帯数は486世帯である)

―地域の方の約16%ですね。

よく「小さな自治」を形成していると紹介されています。だからこそ、ここに来たら「必ず酒谷のものがある」ことが大事だと思っています。

あくまきに田舎漬け……郷土の味をつなぐには?

―この道の駅の運営において、売上はどの部門が多いのでしょうか?

1位 草だんごをはじめとした加工品の製造販売

2位 物販(地元生産者の委託販売など)

3位 レストランの売上

です。売上自体は物販の方が大きいですが、こちらは手数料だけ頂いているので利益としてはさほど大きくなくて。自社の加工販売の利益率が高くて、中でもダントツは草だんごの販売ですね。

ただ先ほどもヨモギの生産者の方が高齢化しているとお話ししましたが、それは野菜や加工品の生産者の方も同様で、地元のものも少なくなってきました。30年経つと60歳だった方が90歳なんですよ。

これからは、生産者の確保と技術の継承が大きな課題だなと思っています。

例えば今、あくまき(鹿児島や南部宮崎で作られている餅菓子)を作ってくださっているおばあちゃんが90歳くらいです。それ以外にも、田舎漬けなど昔ながらの加工技術をどうやって繋いでいくか、何かやらないとなくなってしまうと思っています。

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