「こんな所に人が来るの?」と言われたが…。過疎の山奥にある「道の駅」で"バカ売れ"する草だんご。《小さな自治》精神が集客の秘訣だった!

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今年はヨモギペーストを約1.4トン分仕込む予定です。もし倍作ったら倍売れると思うんですけど、ヨモギの生産だけでなく、お団子を作る手も追い付かなくて……。現状の体制ではこれが限界ですね。

「地元ならではのもの」こそが価値

―ヨモギを使っただんごは、生のヨモギに加えて粉末を使っているところもありますよね。粉末も使おうと考えたことは?

粉を使うなんて頭のすみにもないです。やはり「地元で取れたもので、地元で手作りして、地元で売る」ところに価値があるのだと思いこだわってきましたよね。

それは草だんごだけでなく、ここで扱っているもの全部に関してもそうです。だからこそ、野菜や果物、山菜は酒谷地区を中心に日南市のものを揃えており、市場からの仕入れはやっていません。これは道の駅が始まってからずっとそうしてきました。

ふき、たらの芽
ふき、たらの芽など、取材時には春の味覚が並んでいた(筆者撮影)
葉わさび
葉わさび一束450円。生産者がかごを背負って山に登り収穫しているという。3月から5月上旬頃にかけて並ぶ葉わさびは、毎年待ち望む人の多い人気商品だ。「旬の味を多くのお客様に楽しんでほしい」との思いで高齢の生産者が山奥にあるわさび田までかごを背負って収穫に行くのだという(筆者撮影)
おにぎり
この葉わさびを使ったおにぎりやちらし寿司、わさび寿司もここの人気商品。こちらはわさびおにぎり350円。わさびのすがすがしい風味とほんのりピリッとした辛味が味わい深い(筆者撮影)

―確かに道の駅を訪れる人って「そこならではのもの」が欲しいですよね。草だんごはまさにぴったりですね。

青果や加工品だけでなく、併設のレストラン「せせらぎの里」で使う食材もそうです。

名物は「棚田そば・うどん」で、毎日トッピングが違うんですけど、春はわらびとかタケノコ、山菜など、地元で取れた山菜がたっぷり使われています。

棚田そば
棚田そば980円。取材時の4月末ごろのトッピングは、わらび、タケノコ、ごぼう、しいたけ、天ぷら(魚のすり身揚げ)、かき揚げ、かまぼこ、鶏肉、ネギだった(筆者撮影)
棚田そば
蕎麦は、麺が短くブツブツと切れる田舎蕎麦。風味が豊かだ。甘めの出汁が車の運転で疲れた体に染みわたる(筆者撮影)
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