「婚姻届は2年後に出す予定」SNSで出会った36歳男性と身体障害のある女性が選んだ事実婚生活。ボーナス全額貯金で「バリアフリー新居」資金に

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現在はごく普通の風貌をしている順一さん。かつては腰まで届くほどの長髪で、女装して写真を撮ったこともある。性的にはストレートだが、世間体などには縛られずに素直に自由にいられることを最重視している男性だ。かつてブラック企業で勤務して苦しんだ経験の反動かもしれない。

久美子さんとの出会いはSNS。同じハッシュタグを使った人同士で集まるというオフ会に参加した。そこで身体障がいを抱える前の久美子さんと初めて対面した。その後もときどき2人きりでも会うようになったが、ゲームの話などをする軽い付き合いで、恋愛感情などはお互いになかったと順一さんは振り返る。

「彼女はいわゆるバイセクシャルのポリアモリーで、男性とも女性とも同時に付き合っていて、それを公言していました。そういう自由なところも私としては好感度が高かったです」

「病気前と態度を変えなかった」唯一の存在

そんな久美子さんが脳の病気で倒れたのは2022年。退院した後も重大な身体障がいが残った。交際相手たちは次々と離れていき、孤独を深めた久美子さんには「かわいそうな人扱い」はされたくないという気持ちが生じた。

「すごく優しくされると、むしろ壁があるように感じてしまうそうです。病気前と態度を変えなかったのは私だけだったと彼女が言っていました。なぜかって? うーん、彼女には大変なことが起きたとは思いますが、私には何も起きていないからです。助けてほしいと明確に言われたら私ができることはやりますけど」

順一さんはかなりの個人主義者のようだ。そして、久美子さんとは「不謹慎さの度合いが同じ」という独特な言い回しで相性の良さを表現する。

「彼女は脳の病気だったので、頭蓋骨を開く大がかりな手術を受けたそうです。しんみりした口調ではなく、『頭をこんなふうにパカッと開いたんだよ』と言うので、『そんなへーベルハウス(※同社のCMに登場するへーベル君)みたいなことが!』と反射的に返してしまったんです。もちろん、知らない人にはそんなことは言いませんが、友達同士だから許されるでしょう。彼女もゲラゲラ笑って、『しんみりされたくないから嬉しい』と言っていました」

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