
「今はようやく精神的に安定しました。自然の中での人の営みがある田舎での生活が楽しく、夫ともお互いに成長し合えていると思います。これからもいろんな課題が出てくるはずですが……」
ここは東京の下町にある老舗ホテルのロビーラウンジ。中国地方の郊外に自宅があるという原田直美さん(仮名、42歳)は、小柄で肌艶が良く、黒々とした瞳が印象的なショートカットの女性だ。職業はIT企業の契約社員で、リモートで勤務している。今日は単身上京し、つらかった10代の頃からずっとファンだというビジュアル系バンドのライブを聴きに行く途中らしい。
“ヒステリックで天然”な母との幼少期
芸術家の母親と都心を転々としながら暮らしていた直美さん。「自分の存在を受け入れられない」幼少期だったと振り返る。
「母は37歳のときに私を産みましたが、相手は家庭のある男性だったようです。私はその実父と会ったことはありません。母からの愛情はありましたが、ヒステリックでめちゃ天然な人です。こうあるべき!という理想を押し通そうとするのに、自分は忘れ物がひどくて20万円も落として気づかなかったり。一緒に生活するのは大変です」
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