幸せの秘訣は「退職前」の断捨離にあり! 米国人はどうやって老後に備えるのか
「物についての決断を下せるように自分を動かしていくことで、自分に力をつけていく」。UCLA長寿センターのディレクターで、アメリカ老年精神医学ソサエティ代表のゲイリー・W・スモールはこう話す。「物を捨てる時、私たちは解放される」。
しかし、それに伴う痛みを見くびってはならない。物を捨てる難しさは、死の必然性や誰も永遠には生きられないという認識から生じている可能性がある。人生のどこかの時点で、将来よりも過去の方が長くなり、そのことが恐ろしくなってしまうかもしれない。
高齢者は過去を忘れずにいたいと思う。しかし、「全部を手放さない、という訳にはいかない。ダウンサイジングの利点のひとつは、より『現在』を生きられるようになるということだ」と、スモールは言う。
3カ月経つと不要になる
一生涯の持ち物を整理するのには、プロの手助けが必要かもしれない。たとえば、eBay(イーベイ)で持ち物を売る気にはならない人もいるだろう。家族の誰かが欲しがりそうな物、売る物、寄付する物、維持する物などに分けよう。子どもが描いた絵や写真は、デジタル化して保存することも検討しよう。持っている物によっては、ガレージセールなどを開く人もいるだろう。
スーザン・レビンは、高齢者らの転居や住み替えを手助けするオーケストレーティッド・ムーブスのコンサルタントで、自身も何度かダウンサイジングを経験した。彼女は「いろいろな感情が湧きあがってくる」と言う。「ただ単に物を動かすのではなく、感情面でもそれを手放すということだから」。
多くの人が、理想よりも多くの物を取っておくという。しかし、応用発達心理学者のデボラ・ハイザーは、「最初はみな『取っておこう』と思うが、やがてどうでもよくなる」と話す。彼女によると、3カ月くらいは保管しておいても、その後は「もういらない」と思うようになるという。「新しい生活」を見つけると、過去の物は何らかの方法で処分したくなる場合が多いようだ。
そして、多くの人が、住み替えにより究極的には解放感を味わう。「これは新しい冒険だ」と、モプシックは言う。「マイナスよりも、プラスのことのほうがずっと多いね」。
(執筆:Harriet Edleson記者、翻訳:東方雅美)
© 2015 New York Times News Service
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