幸せの秘訣は「退職前」の断捨離にあり! 米国人はどうやって老後に備えるのか

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ケイ・アップルマンとエドワード・モプシックは、約30年暮らしたメリーランド州ベセスダの庭付きの家から、3キロメートルほど離れたコンドミニアムに引っ越そうとしている(T.J. Kirkpatrick/The New York Times)

63歳のダイアン・ウェルシュは、それまで住んでいた315平方メートルの家から、近所の小さな平屋建ての家に住み替えた。それは時間のかかるプロセスで、完了するまでに少なくとも2年半はかかった。

「私はとても几帳面な性格なので」と、ウェルシュは言う。彼女は政府の契約職員で、かなり前に離婚し、現在もパートタイムで健康関連の広報の仕事をしている。

ウェルシュはまず、クローゼットや引き出しの整理から始め、「かなりたくさん」捨てたと言う。だが、それだけでは済まなかった。「どうしてこんなに物が多いのか、と思った。考えていたより、ずっと多かった」と、彼女は言う。

老後は簡素に暮らしたい

一般的な引退の年齢に達した人、あるいはそれに近づいた人が考えるように、ウェルシュは簡素な暮らしに変えたいと思った。2014年には、推定で420万人の退職者が新しい家に引っ越したと、メリルリンチとエイジウェーブによるレポート「引退後の住宅:より多くの自由と新たな選択肢(Home in Retirement: More Freedom, New Choices)」は述べている。全体として64%の退職者が、退職後一度は転居するだろうと考えている。

しかし、35年も住み続け、3人の息子を育てた家から離れて、ダウンサイジングする(小さな家に移って、生活規模を縮小する)のは「とても大きなストレスだった」と、ウェルシュは言う。

一生分の持ち物の処分を決めるには、さまざまなことを考えなければならず、またさまざまな感情が引き起こされる。それは「破壊的だ」と、ボストンカレッジ引退研究センターのリサーチ・エコノミスト、スティーブン・A・サスは言う。「これまでの人生や住み慣れた場所」から立ち去ることを意味することにもなるからだ。

「ダウンサイジングするなら、身体的にも、社会的にも、金銭的な面からも、早く始めるほうがいい。それは自分が欲しい物や必要な物を手に入れるために、いま何かをあきらめるということだ」と、サスは話す。その代償として得られるのは、新しいスタート、低い生活コスト、家事の低減、そしてより快適で旅行もしやすい、新たなライフスタイルだ。

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