
ロールス・ロイスが「4ケタ」の最大トルクを誇るBEVクーペ「ブラック・バッジ・スペクター」を2025年2月(日本導入は4月)に発売した。標準モデルの「スペクター」ですら最高出力430kW、最大トルク900Nmもあるのに、なぜ、その上をいくモデルが必要だったのか。
私がブラック・バッジ・スペクターに乗ったのは3月。場所はスペインのバルセロナだった。驚いたことにロールス・ロイスは、市街地と周辺のワインディングロード、それにサーキットを試乗の場所として用意していたのだ。
結論を伝えると、標準モデルのスペクターでも十分すぎるほどバッテリー駆動によるパワフルさを感じたが、ブラック・バッジ・スペクターは、さらに運転を楽しめるクルマに仕上がっていた。とくにサーキットで乗ってみて、クルマづくりのレベルの高さに“舌を巻く”という表現を使いたくなる出来栄えだった。
ロールス・ロイスのブラック・バッジとは

そもそも「ブラック・バッジ」とは何か。2016年にロールス・ロイスが設定した”もうひとつ”のラインで、以前よりドライバーズカーとしての側面を強く打ち出すようになった同社の方針に沿って、さらにスポーティ(ロールス・ロイス的な表現は「スピリテッド」)なイメージを強調したところに特徴がある。
「2000年代になって、ロールス・ロイスのクライアントは、従来よりも若々しいイメージを欲しがるようになっていました。自分たちのイメージをよりダイレクトに反映できるロールス・ロイスが欲しい、という声が本社に寄せられるようになったのです」
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