「今度の万博は船でも行けまっせ」→「絵に描いたモチ」に…《大阪・関西万博》船ルートが「超絶残念」に始まってしまったワケ
うち先述の水素船「まほろば」は、予約ページに「着岸に当たり設備的な課題が発生」「(運航は)調整中」と表記、中之島GATE~ユニバーサルシティポート間は運休扱いのようだ。

もう1社の「ユニバーサルクルーズ」の万博シャトルは、安治川を挟んで徒歩で1km以上離れた「中之島GATEノース」(中央卸売市場前)から発着。同社によると「サウスピアからの発着は今のところ予定していない」そうだ。
なお万博ホームページ内の「旅客船の運航情報」には「中之島GATEサウスピアとノースが実質的に違う場所」という表記・説明はなく、ノースではなくサウスピア側で船を待っていたという事例も発生している。どちらも「中之島GATE」なので誤表記ではないが、万博運営側が船の利用者に気を配っていない現実には驚かされるばかりだ。
ただ、中之島GATEサウスピアは飲食店街「フィッシャーマンズワーフ中之島GATE」が入居し、それなりに賑わっている。定期船就航という「絵に描いた餅」が実現していない中之島GATEの現状は「桟橋のオブジェが付いた美味しい海鮮レストラン」というと分かりやすいだろうか。

2024年12月に発表された「大阪・関西万博 来場者輸送具体方針(アクションプラン)最終版」では、船輸送全体で「1遊覧15社・1日29便・月約900便」を見込んでいた。現状の定期航路はこの1/4にも達しておらず、全体的な輸送計画じたいが「絵に描いた餅」に近い状態となっている。
縦割りの構造が根本的な問題では…?
定期船が就航しない原因は諸々あるが、取材するに連れて根本的な問題が見えてきた。川の桟橋や「水辺の賑わい創出」施設はしがらみが複雑で、縦割りを越えて「万博の船輸送を盛り上げよう!」という姿勢が、まったく見えないのだ。
河川敷を管理する側(近畿地方整備局)は「着岸設備を作った。運航してくれる船会社を待っている」「桟橋周辺の賑わいづくりは自治体の仕事」淀川区などの行政側は「屋台やテラスは整備した。それ以上の事項は管轄ではない」というスタンスを崩していない。
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