失明した40代男性にみる「高血糖を放置すること」の恐ろしさ。「目がほとんど見えない」コージー冨田さんの告白は他人事じゃない

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そのため、糖尿病と診断されたら血糖値のコントロールに加え、定期的に眼底検査を受ける必要がありますが、糖尿病の怖さを軽く考えていたAさんは、眼科に行かないことも多かったようです。

失明してしまったAさんは一人暮らしが難しくなったことから、視覚障害者向けの施設に入居。それまでの仕事についても、続けるのが難しいと判断したため、制度や福祉の支援を受けながら、就労継続支援の事業所で働いた収入で生活しています。

当院の訪問看護を利用するようになったのは、その頃からです。

看護師曰く、それまでAさんは、自己判断で処方された薬の量を減らしたり飲まなかったりしており、主治医も困っていた様子だったとのこと。

しかし週に1回、看護師が訪問するようになってからは、きちんと薬を飲むようになったといいます。その理由を直接本人から聞いてはいませんが、定期的に医療の専門職の目が入ることで「飲まなきゃいけない」という気持ちが芽生えてきたのかもしれません。

とはいえ、いまだにカップラーメンやチョコレートがやめられず、積極的に生活を改善しようする姿勢が見られないAさん。これ以上、健康状態を悪くしないために、少しずつでも意識を変えてもらえたらと、看護師もいろいろと対策を考えているようです。

糖尿病には1型と2型がある

ところで、糖尿病には「1型」と「2型」の2種類があります。

糖尿病全体の約5%が当てはまるとされる1型は、自己免疫疾患などが原因でインスリン分泌細胞が破壊されるものです。先日、糖尿病であることを公表したコージー冨田さんも、「1型である」と話しています。

一方、2型は過食や運動不足などの生活習慣と、遺伝的要因とが重なって発症するもので、Aさんがこれに当てはまります。

一般的に、糖尿病と診断されたら(あるいは健康診断で血糖値が高めと言われたら)、血糖値が上がりにくい生活習慣に変えていくことが大切になります。

糖尿病は前出の通り、インスリンの作用が不足していることが原因で起こりますが、それ以外にも食事内容や運動不足といった日々の過ごし方によって、症状は改善も悪化もするからです(ただし、1型は生活習慣では症状改善は期待できないので、インスリン療法が必要になります)。

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