当然ながら血糖値も高い状態が続き、20代で糖尿病を発症。血糖値を下げる治療を受けていましたが、仕事が忙しいこともあり、通院しない期間もあったそうです。
そうこうしているうちに、血糖値はみるみる上がっていきました。
私たちの体は、食べ物や飲み物でとった炭水化物や糖質が消化・分解されてできるブドウ糖をエネルギー源にしています。糖尿病は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが不足することで、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が慢性的に続く病気です。
糖尿病を診断する際は、過去1〜2カ月程度の血糖値の状態を評価する値(ヘモグロビンA1c)や、食前と食後の血糖値が指標になります。
日本糖尿病学会では糖尿病の判定基準として、「空腹時の血糖値が110mg/dL未満、食後2時間の血糖値が140mg/dL未満」を正常型としています。
これに対し、Aさんは食後血糖値が900mg/dLを超えたこともあり、状態は深刻でした。おそらく当時の主治医からは「しっかり治療をして、血糖値を下げなければ危険だ」と強く言われていたはずですが、自覚症状がなかったこともあり、「大丈夫だろう」と油断していたようです。
30代で片足の指を切断
しかし、糖尿病を甘く見てはいけません。血糖値が何年間も高いままで放置すると血管にダメージが生じ、失明や腎不全、足の切断といった重い病気につながってしまいます。
実際、Aさんにもやはり恐れていたことが起こります。
糖尿病の合併症である神経障害や血管障害の影響で足の指の組織が壊疽(えそ)を起こし、30代で片足の指を切断。40代で糖尿病網膜症を発症し失明してしまったのです。
網膜症は糖尿病の合併症の1つで、糖尿病を発症してから10年ほど経って出てくる疾患です。
自覚症状のないときから、眼底には異常が発生しており、視界がかすむ、視力が低下するといった症状が表れたときには、すでに失明のリスクが高くなっています。
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