「会社から逃げた」元大手メーカー課長の男性。独立起業することを決意するも、選んだ仕事は「農業」だった意外なワケ
それを考え合わせると、私の年齢からすると、あと1年で制度適用が可能になるということを意味していた。この瞬間、小躍りしたいような気持だった。これで、会社を辞めて宿願の農業に進むことができるかもしれない、自分の中では腹が固まった。
専務の承認を得たことにより私の退職は決定的なものとなった。退路を断ち、もう後戻りできないわけだから、前に進んで起業するしかない。
そう覚悟を決めた瞬間、これまでの人生の中でも経験したことのない解放感、期待感、ワクワク感が体中を走った。
うまく表現できないのがもどかしいが、その覚悟した瞬間は、「それまで明かりのない真っ暗闇の狭い道を手探りでさ迷い歩いていたが、ある日突然、そこに光がさして一気に視界が開け、道が拓けた」ような、まるで映画やドラマを見ているような感覚を経験した。
不思議なもので覚悟するまで不安がいっぱいで頭から離れなかったのに、決めた瞬間に不安はいつの間にかすべて期待に変わっていた。
部下には今でも申し訳ない気持ち
会社や部下に迷惑をかけたくないという思いから、1年後に退職することを決めたが、これを知っていたのは一部の上司のみ。もちろん部下にも伝えられるようなことではない。
辞めることが決まっているボスの下で働くことは、モチベーションを大きく下げる。言えないということは、つらくて苦しいことだ。
部下に話したのも最終出社日の1週間ほど前だったと記憶している。部下にしてみれば、キツネにつままれたような話で、きっと見捨てられたような気持になったのではないだろうか。
だから、部下には何もしてあげられなかったという自責の念は今でも持っている。
その償いというわけではないが、私のところに脱サラ起業や新規就農のことで相談に来られる方には、なるべく寄り添って応援してあげたいと思っている。
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