累計380万部、20年続く児童書「なんでも魔女商会」「ルルとララ」ができるまで。子どもたちを夢中にさせる児童書とは?
私はこれをよく「青汁のようなココア」と表現しています。大人は子どもの将来を願って青汁を飲ませたい、でも子どもは青汁じゃなくてココアの方がいいと思っています。
ということは、ココア味の青汁があればいいんです。大人にとって「与えたいと思うもの」は、やっぱり、成長を感じられるようなもの、心の栄養になるようなもの。
でも、それをしつけっぽく書いてしまうと、子どもにとっては飲みにくい青汁で、ココアじゃない。その青汁を子どもにとってココアのように読みやすいものにするには、子どもが興味ある切り口にすること、エピソードの1つ1つを長く書きすぎないこと、各ページに挿絵を入れることなど工夫が必要なのです。
私が子どもだったころは、自分が本当に欲しいと思えるような本がありませんでした。本の文章を読んで頭の中で妄想を膨らませていた画像と、実際の挿絵とのギャップがすごくてがっかりすることが多かったんです。
やっぱり挿し絵たるもの、本人の妄想以上のものであってほしかったんですね。だから、私が描く挿絵は、どれひとつとっても「絵として面白くない、見所がない」と妥協したようなものは描かないと決めています。
特に、背景の様子などはなるべく絵で描かないようにしていて、キャラクターの絵を多用することによって、読者の中で作り上げられたイメージや妄想を壊さないように気をつけています。
クラシックな家やお城みたいな家など、お話の中での特徴的な建物は描くこともありますが2、3枚です。なるべくみんなの想像力を邪魔しないようにしたいと思っています。
創作という仕事は、継続することが大事
私が子どもだった頃と違い、アニメや児童書で、比較的息の長いシリーズが生まれてきているようには感じます。私の作品が20年続いてるのも驚きですし、児童書で人気の「かいけつゾロリ」シリーズはもっと続いてます。ただ、作家も努力し続けないと長く続けることはできないだろうと思います。
作家を目指す人たち向けの講演会で、私はこう言って背中を押します。
「作家になろうと決めたのなら、家事にせよ、家族の世話にせよ、会社の仕事にせよ、忙しくてストレスがたまって、気持ちの余裕がなくなっても、創作を犠牲にしてはなりません。
忙しいからこそやる。どんなに小さな時間でも見つけ出して続ける。そうやって続けたご褒美は必ず手にできると信じてください」
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