8月から世界の株式市場が混乱している。そして、この原因は上海と深センの株式市場の暴落と中国経済の失速にあるとされている。
これは間違いだ。中国が原因で世界の株式市場が暴落したのではない。真犯人は別にいる。そして、今後の株式市場はこの真犯人の動向による。
まず中国経済についてだが、不動産市場は再度大きな調整が入る可能性が高い。崩壊すればまた別の大事件となり、今回のような下落では済まない。中国経済は最大の危機を迎えるだろう。では不動産市場が崩壊しない間はどうか。実体経済は順調だから、株価が一直線に下落していくわけではない。
中国の実体経済は転換点を迎え、高度成長期から成熟経済期への移行過程にある。2003年までは日本の1960年代と同様、都市部と農村部の二重構造を背景に高成長を実現してきた。農村部の過剰労働力が都市部に流れ込み生産力を増大させつつ、労働力の継続的な流入により賃金上昇を抑えてきた。大幅な賃金上昇による高インフレなしに、継続的な高成長を実現することができたのだ。
これは単純な量的拡大である。二重構造を持った経済であれば、構造的に自然に実現する。その際、政策として重要なことは、無駄に経済を過熱させたりその反動で落ち込ませたりしないように、インフレを予防し物価を安定させること。そして外貨を十分に確保し、通貨の安定性を確保すること。物価も為替も要は通貨価値であり、通貨価値の保全がもっとも重要なのだ。
3カ所で発生した中国経済バブル
21世紀に入り、この二重構造は消滅した。内陸部から沿岸部への労働力の供給がほぼ終了したのである。賃金は目に見えて上がり始めた。もはや中国は安くはない。そう言われ始め、中国を低コスト生産基地として利用していた企業は、ベトナム、バングラデシュ、カンボジアとその基地を移動させていった。
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