世界市場混乱の真犯人は資源バブル崩壊だ 中国経済の質的変化がもたらす真の意味

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しかし、これは中国にとって悪いことではなかった。二重構造は外部にとっては消滅だが、内部にとっては解消だ。全土的な成長が本格化し、沿岸部で豊かになった労働者は消費者としても重要な存在となり、巨大な購買力として登場したのである。内陸部と沿岸部との所得格差は国内政治的には問題だが、経済的には内需主導の始まり。成熟経済の仲間入りを始めたのだ。

世界にとって中国経済の重要性が真に高まったのはこれ以降。中国は世界の工場から世界の消費地に発展したことで、需要不足に悩む世界経済の不況を一気に構造的に救うことになった。景気循環における不況を構造的に救うというのは論理矛盾だが、世界は過熱した。中国経済バブルである。

このバブルは3カ所で起きた。1つは中国消費向けへの生産、2つめは天然資源、穀物などの商品、3つめは中国不動産である。リーマンショック前に起きた欧米の金融バブルと重なったため、相乗効果でバブルが膨らんだ側面もあるが、それ以上にやっかいなのは、3つが本来は単純なバブルであるにもかかわらず、わかりにくくなり人々の認識の盲点となったことである。現在の世界の株式市場の混乱は、この3つのバブルの崩壊によるものなのだ。 

ならば、やはり中国が犯人ではないか、と言われそうである。そうなのだが、そうではない。中国が犯人となると、中国の経済成長率であり上海株式市場だ、ということになる。上海株が下がれば世界の株価が下がる、というロジックでの連想ゲームが始まり、世界中の投資家がかたずをのんで日本時間で午前10時半の上海の寄り付きを見守る、ということになる。しかし、これは間違いだ。

この誤解から、一時的に日本市場が上海市場に連動したが、意図的な誤解、確信犯により作られたストーリーと仕掛けだ。実際、混乱のピークであった8月末以外、中国の株式市場は世界の株式市場と連動していない。

資源バブル崩壊こそ大混乱の真犯人だ

理由は単純で、中国の株式市場と世界の株式市場では、主要な投資家が異なるからだ。中国で個人や非金融部門の企業が損失を出しても、その財務的窮地、投げ売りのスピルオーバーは世界に広がらない。中国での売りが世界での売りを呼ぶ展開にはならないのである。あるのは唯一妄想だけ。中国バブル崩壊で世界バブルも崩壊するという妄想連想ゲームが起きた場合であり、日本だけで部分的に発生した。

中国不動産バブルが本格的に崩壊すれば、世界に大きな影響を与える。リスク資産市場の損失だけに留まらず、中国国内の銀行、金融システムに大きなダメージを与え、非不動産部門に広がるからである。中国実体経済は長期にわたり停滞し消費も崩れ、世界経済も停滞するだろう。

これは将来確実に起こる大きな危機であり、サブプライム危機同様、わかっていながら実際にはじけるとみながショックを受け、大きなダメージを受ける。ただし見誤ってはいけない。サブプライム危機におけるサブプライムは単なる象徴で、世界的に壮大なリスク資産バブルが起きていたことが主因だった。サブプライム自体は真犯人ではなかったのである。

中国不動産バブル崩壊が与える世界への影響は、パニックや金融市場崩壊とは異なり実体経済を経由するため、重い危機ではあるものの、冷静に対応すればコントロールは可能だろう。そのコストが多大だというだけだ。

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