「面子の重視」が生む、欧米人との6つの"ずれ"場面…背景には日本人が重視する「恥の文化」がある

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訴訟大国のアメリカではビジネスシーンでの謝罪は避ける傾向にある(写真:metamorworks/PIXTA)
ビジネスシーンに限らず、外国人からは「日本人は"Yes"と"No"をはっきりと言わない」と思われがちですが、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授の岡田昭人氏によれば、その背景には「恥の文化」を重んじる日本と、「罪の文化」を重視する欧米の違いがあるそうです。
そうした「文化の違い」を乗り越え、齟齬のないコミュニケーションを取るために気をつけるべきポイントを、岡田氏の著書『教養としての「異文化理解」』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

「フェイス・スレトニング・アクト」とは?

フェイス・スレトニング・アクト(Face Threatening Act=FTA)とは、相手の「フェイス」すなわちその人の社会的な評価や尊厳(面子)を脅かす行動や発言を指します。

この概念は、ペネロペ・ブラウンとスティーヴン・レビンソンによって提唱された「ポライトネス理論(Politeness Theory)」の中核を成すものです。彼らは、コミュニケーションにおけるフェイスを「ポジティブ・フェイス」と「ネガティブ・フェイス」の2つに分類しました。

ポジティブ・フェイス

他者に自分が好意的に受け入れられたい、認められたいという欲求です。褒め言葉を受けたり、主張が認められることで満たされるのがその一例です。

ネガティブ・フェイス

他者からの干渉や強制を避け、自分の行動を自由に決定したいという欲求です。頼みごとを断る際や無理やり何かを押しつけられる状況では、このネガティブ・フェイスが脅かされる可能性があります。

FTAは、この「ポジティブ・フェイス」と「ネガティブ・フェイス」のいずれか、あるいは両方を損なう行為を指します。具体的な例としては、次のようなものがあります。

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