「面子の重視」が生む、欧米人との6つの"ずれ"場面…背景には日本人が重視する「恥の文化」がある
また、断り方にも違いがあります。欧米圏の国々では、誘いに対して「行けない」とはっきりと伝えることは、相手に対して誠実であると見なされます。一方、日本では、相手の気持ちを尊重し、断ることによって相手のポジティブ・フェイスを傷つけないように、あえて曖昧な表現を使うことがあります。
イタリア人の留学生が日本人の学生に週末の予定を尋ねた際のことです。日本人学生は「ちょっと考えておくね」と返事をしました。
ところが、留学生は「ちょっと」の曖昧さを直訳的に受け取り、「まだ少しだけ迷っているんだな」と解釈したのです。そのため、彼は何度も「どう? 決まった?」と確認を重ね、ついには「考える時間はたっぷりあげたよ!」と真剣に提案するほどでした。
日本人学生にしてみれば、最初の「ちょっと考えておく」で断ったつもりだったのに、話がどんどん大ごとになったわけです。最終的に「実は行けないんだ」と伝えると、留学生は「じゃあ、最初からそう言ってよ」と困惑気味でした。
「ちょっと」と「考えておく」が織りなす微妙なニュアンスは、日本人にはなじみ深いものの、他の文化圏では全く異なる解釈をされることがあるのです。
はっきり「No」を言わない日本人
⑤断り方
誘いへの返事となる「断り方」におけるフェイスの扱いは、とても繊細です。
相手が「自分が大切にされている」と感じたい気持ちを損なわないように、相手を尊重しながら断ることが重要です。日本では、断るという行為そのものが、相手に「拒絶された」と感じさせる可能性があるため、特に丁寧な表現が求められます。
「Noと言えない日本人」というフレーズを聞くことがありますが、外国人の間では日本人は"Yes"と"No"をはっきりと言わないと思われています。
とりわけ、断ることは非常に慎重に行われ、「少々お時間をいただきます」「調整中です」「社内の関係部署の意見を聞いているところです」「難しいかもしれませんが、検討します」といった婉曲的な表現が使われます。
アメリカでは、断ることが明確に表現される場合が多く、“Sorry, I can’t make it this time.”(申し訳ございません。今回はそれはできません)のように直接的に伝えるのが一般的です。
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