「面子の重視」が生む、欧米人との6つの"ずれ"場面…背景には日本人が重視する「恥の文化」がある

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ある外国人社員が、日本の取引先からの提案を「正直に言って、このプランはあまり賛成できませんね」とそのまま伝えました。これを聞いた取引先の日本人担当者は、その後の会話で突然無口になり、明らかに雰囲気が変わりました。

外国人社員が後で日本人の同僚に「どうして急に雰囲気が悪くなったのか」と尋ねたところ、「断るときはもう少し気を遣って、相手の提案にも価値を感じていることを伝えるのが大事だよ」と教わったといいます。

「円滑な対話」の促進に欠かせないFTA

⑥依頼の仕方

依頼の仕方では、相手の「自分の自由を守りたい」「干渉されたくない」という気持ちに配慮することが大切です。

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相手が「やりたくないのにやらされる」と感じてしまえば、コミュニケーションがぎこちなくなります。特にビジネスシーンでは、相手に負担を感じさせないよう、依頼の方法や言葉遣いに細心の注意を払う必要があります。

日本では、依頼は非常に丁寧に行われ、相手の負担を最小限に抑えるように配慮されます。「申し訳ありませんが、お手すきのときにお願いできますか?」といった表現が一般的です。

また、教師や上司などに窓を開けてほしいとき、「窓を開けてください」と言うのではなく、「今日は暑くありませんか?」といった具合に、相手に気づかせる形で依頼を行います。

英語圏では、より直接的に依頼することが普通です。"Could you please finish this by tomorrow?"(明日までにこれを完成させてください)といった形で、明確な依頼がされます。

このようにFTAは、異文化理解に欠かせない要素です。ポジティブ・フェイスとネガティブ・フェイスの違いをよく理解して、それぞれの文化背景に応じた適切なコミュニケーションスタイルを選択することが、円滑な対話を促進します。

岡田 昭人 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授

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おかだ あきと / Akito Okada

東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。留学生教育学会副会長。Oxford-Cambridge Society会員。ニューヨーク大学大学院で異文化コミュニケーション学の修士号を、オックスフォード大学大学院にて教育学博士号を取得。東京外国語大学で25年にわたり日本人と留学生に教育学や異文化コミュニケーション学を指導。講演会やセミナー、執筆などを通じて異文化理解活動に務めている。著書に『世界を変える思考力を養う オックスフォードの教え方』(朝日新聞出版、『人生100年時代の教養が身に付く オックスフォードの学び方』として文庫化)、『オックスフォード流 自分の頭で考え、伝える技術』(PHP研究所)、『教育学入門 30のテーマで学ぶ』(ミネルヴァ書房)などがある。

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