"子煩悩な親"が知らないうちに「毒親」へ変貌する恐怖のメカニズム、《無自覚に子どもを支配しない》ために大切なこと

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こんなことをいい続けられた子どもは「良い子」であり続けなければならず、「東大」に入らなければならず、「医者」にならなければ親の期待を裏切ることになります。

子どもは、ときには良い子にしていますが、ときには悪いこともするものなのです。

親は、悪いことをしたときには叱っても、やはり変わらずに子どもを愛するからこそ、子どもも健全に成長していけます。「勉強ができるからおまえを愛する」というのでは、勉強ができなくなったら親に愛されないことになります。

「勉強ができる」ことをほめるのはいいのですが、「勉強ができたってできなくたって、あなたは私のかわいい子どもだ」というのが基本線にないと、子どもは「勉強のできる自分」にがんじがらめになってしまいます。

「条件付きの愛」という親から子どもへの脅迫状

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医者になることを期待されて育った子どもは、自分が本当に送りたい人生を送ることができず、親の期待どおりに医者になり、親に自分の人生を乗っ取られたまま、喜びの少ない人生を送ることになるかもしれません。

また、医者になることを放棄しながら、「親の期待に応えられなかった」という罪悪感や、親に対する申し訳なさを常にどこかに持ち続ける人もいるでしょう。医者にならなかった自分に、期待はずれといってはがっかりしている親の愛のなさを恨むかもしれません。

どんな親であっても、「親」であるだけで、多かれ少なかれ、子どもに期待し、子どもの人生に侵入しているのでしょう。しかし、その期待には「おまえはそのままでいい」「そのままのおまえが私の大切な子だ」というメッセージが、きちんと伝えられているという前提が必要なのです。

これを欠いた親の期待の押しつけのことを「条件付きの愛」といいます。「条件付きの愛」は親から子どもへの脅迫状にほかなりません。

斎藤 学 家族機能研究所代表、精神科医

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さいとう さとる / Satoru Saito

1941年東京都生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。家族機能研究所代表。元・医療法人社団學風会さいとうクリニック理事長。アルコール依存・薬物依存などの嗜癖(依存症)研究の第一人者。独自のスタイルで治療・研究を行い、各方面から厚い信頼と支持を得ている。セルフヘルプ(自助)グループの活動支援、執筆、講演などでも活躍中。『「自分のために生きていける」ということ』(だいわ文庫)、『すべての罪悪感は無用です』(扶桑社)など著書多数。

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