「過労死で亡くなる人は珍しくない」「1枚の単価は200円から」…。業界歴22年の彼女が漫画で"アニメ制作のブラックさ"を伝えるワケ

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まず、1枚の値段が200円というのにひどく驚いた。20万円を稼ごうと思ったら、1000枚も描かなければならない。

社内には紙ゴミや荷物が積み上がり、精神を病む人、過労死してしまう人、集団によるイジメ、そして極端に安い賃金に苦しむ若者たち……。アニメ業界の闇を赤裸々に描いている。

アニメ業界の具体的なことが描かれた作品がなかった

業界内の人たちの反応はどのようなものだっただろう?

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「『よくぞ描いてくれた』って言ってくれる人もいました。

これまでにも“アニメ業界はブラックだ”って話題に上ることはありましたけど、具体的なことが描かれた作品って、実はあまりなかったと思うんです。業界の内側の声ってなかなか外には届かないので。

でも、やっぱり言いすぎると叩かれちゃうと思うので……そこはギリギリのラインで描いてます」

近年、AIが急速に発展し、絵や動画を生成する技術も進歩している。アニメ業界にもAI導入の波は押し寄せるのだろうか。

「けっこう意見は分かれてますね。私は“どんどん使ったほうがいい派”なんですけど、それをX(旧Twitter)に書くと、めっちゃ叩かれます。
『自分たちの仕事が奪われる!』っていう危機感を持っている人が多いみたいで。

私からしたら、作業が効率化できるならいいじゃんって思うんですよ。過去に中割りをAIで自動化しようとする試みはあったみたいですが、精度が足りなくてうまくいかなかったみたいです。

ただ、それも時間の問題かなとは思っています」

日本のアニメは、いまや“世界に誇る文化”のひとつだ。日本に来ている外国人に話を聞くと、

「アニメを見て日本に興味を持った」

という人も多い。

日本人はアニメを見て育ち、アニメーターを目指す人が少なくない。そこに強い夢を持っている人も多いだろう。

これからアニメーターを目指す人たちは、どのような心持ちで挑戦したらよいのだろうか?

「『好きなことを仕事にする!!』って言葉はキラキラしていて聞こえが良いけど、実際には地味でひたすら泥臭い世界です。辞めていく人もたくさんいます。それでも

『絵を描くのが好き』

『アニメ作品に関わりたい』

という気持ちがあるなら、きっと道はあると思います。

でもどうか夢のために、自分をすり減らしすぎないようにしてください。
夢と健康はどっちも大事ですからね。健康を害してしまっては、夢は叶えられません」

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村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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