まず、1枚の値段が200円というのにひどく驚いた。20万円を稼ごうと思ったら、1000枚も描かなければならない。
社内には紙ゴミや荷物が積み上がり、精神を病む人、過労死してしまう人、集団によるイジメ、そして極端に安い賃金に苦しむ若者たち……。アニメ業界の闇を赤裸々に描いている。
アニメ業界の具体的なことが描かれた作品がなかった
業界内の人たちの反応はどのようなものだっただろう?
「『よくぞ描いてくれた』って言ってくれる人もいました。
これまでにも“アニメ業界はブラックだ”って話題に上ることはありましたけど、具体的なことが描かれた作品って、実はあまりなかったと思うんです。業界の内側の声ってなかなか外には届かないので。
でも、やっぱり言いすぎると叩かれちゃうと思うので……そこはギリギリのラインで描いてます」
近年、AIが急速に発展し、絵や動画を生成する技術も進歩している。アニメ業界にもAI導入の波は押し寄せるのだろうか。
「けっこう意見は分かれてますね。私は“どんどん使ったほうがいい派”なんですけど、それをX(旧Twitter)に書くと、めっちゃ叩かれます。
『自分たちの仕事が奪われる!』っていう危機感を持っている人が多いみたいで。
私からしたら、作業が効率化できるならいいじゃんって思うんですよ。過去に中割りをAIで自動化しようとする試みはあったみたいですが、精度が足りなくてうまくいかなかったみたいです。
ただ、それも時間の問題かなとは思っています」
日本のアニメは、いまや“世界に誇る文化”のひとつだ。日本に来ている外国人に話を聞くと、
「アニメを見て日本に興味を持った」
という人も多い。
日本人はアニメを見て育ち、アニメーターを目指す人が少なくない。そこに強い夢を持っている人も多いだろう。
これからアニメーターを目指す人たちは、どのような心持ちで挑戦したらよいのだろうか?
「『好きなことを仕事にする!!』って言葉はキラキラしていて聞こえが良いけど、実際には地味でひたすら泥臭い世界です。辞めていく人もたくさんいます。それでも
『絵を描くのが好き』
『アニメ作品に関わりたい』
という気持ちがあるなら、きっと道はあると思います。
でもどうか夢のために、自分をすり減らしすぎないようにしてください。
夢と健康はどっちも大事ですからね。健康を害してしまっては、夢は叶えられません」

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