実は日本技術の結晶「インドネシア製電車」の中身 中古車両導入は途絶えても「日本式」に高い信頼
当初、INKA製国産電車の導入は、早くても2025年下半期といわれていた。そのため、ジャカルタ首都圏の車両不足を早急に補う目的で中古車両の導入が検討されたが、結局は納期1年という早さの中国中車製車両11本の導入で決着した。こちらも1月末に1本目がジャカルタに到着している。
INKA製車両は設計、そしてサプライヤー選定段階では少々遅れていたが、2024年中頃以降は電光石火の如く生産が進んだ。結果的に中国中車製との差はわずか2カ月まで縮まった。
日本製機器を採用するとはいえ、構体組み立てや装置艤装、高度な技術を要するステンレス溶接、また車両を動かす核となるシステムインテグレートはINKAが独自に行っている。同社の設計・製造技術は近年、格段に向上しており、これまでの歴史(2020年4月12日付記事『インドネシア唯一の鉄道メーカー「INKA」の実力』参照)の中で吸収してきた知見や技術を自らのものにしていることがわかる。

「国産化」は日系メーカーの強みに
一方で、台車や台枠、車両鋼体などの金属製品、内装材や座席などの化学製品は国産品であるものの、装置関係は輸入品に頼っており、INKAはあくまでもアッセンブリー(組み立て)をしているにすぎないと見る向きもある。
インドネシア政府は近年、国内産業育成のための国産品優先政策を推進している。2021年の大統領令により、政府調達品(国営企業グループによる民間予算調達も含む)および政府が定める戦略的産業分野(太陽光発電、電気自動車、携帯電話など)において、国産化比率と企業貢献率の合計(TKDN)が40%を超える国産品がある場合は、国産品を調達することが義務付けられた。政府はINKAに対してTKDN40%以上への引き上げを求めている。

INKAはCLI-225型の11本目以降、主制御装置・補助電源装置・集電装置のノックダウン生産(CKD)を開始する。装置を納入する東洋電機製造もCKDに対応する。INKAによると、これによりTKDN比率は45%から50%程度に引き上げられるという。現地生産の取り組みは政府からの評価も高く、日系メーカーとINKAとの協業は、競合となる中国中車に対抗するための武器になる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら