インドネシア唯一の鉄道メーカー「INKA」の実力 日本と関わりは深いがスイスメーカーと提携
PT.Industri Kereta Api、通称INKA。近年ではジャカルタ、スカルノハッタ国際空港へのアクセス用特急電車や、スマトラ島パレンバン向けのLRT車両の製造のほか、輸出車両にも力を入れているインドネシア唯一の鉄道車両メーカーである。
同社は2019年1月、スイスの鉄道車両メーカー、シュタドラーとの提携を発表した。ジャワ島最東端の地、バニュワンギに敷地面積88ヘクタールという巨大な新工場を共同で建設し、シュタドラーは技術や製造設備を提供する。
続いて同年10月、シュタドラーは台湾鉄路管理局から34両の電気式ディーゼル機関車の受注を発表。これは同社にとって初のアジア案件であるが、バニュワンギ工場の新設により、INKAと共同でアジア方面への展開をさらに強化してゆくことになるだろう。
新工場の生産能力は年間およそ1000両、主に輸出向け車両の工場になることが発表されている。しかし、それだけではない。インドネシア政府は日本のJICA(国際協力機構)が中心となって引き続き調査を進めているジャワ北本線高速化事業で国産車両導入の意向を示しており、日本製中古車が多く活躍しているジャカルタの通勤電車も、将来的には国産新型車両の導入が見込まれている。
我が国も今、注視すべき鉄道車両メーカー、INKAを紹介する。
売上高は年平均5%以上の伸び
INKAは東ジャワのマディウンで1981年に操業を開始した。工場の敷地面積は約22ヘクタール、国鉄マディウン駅に隣接した蒸気機関車整備工場の跡地を転用して誕生した。
単に広大な土地を確保できただけではなく、産業に乏しいこの町の基幹産業を作るという意味合いもあったようだ。その後、国の鉄道学校も設置され、マディウンは鉄道の町として発展している。
現在の正社員数は約1000人、さらに約3500人の季節労働者を雇用する。2019年の売上高は3兆4000億ルピア(およそ272億円)と、直近5年間で年平均5%以上の高い伸びを示している。
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