知らぬ間に進んでいたJR東海「テキサス新幹線」 バイデン氏は高速鉄道支持派、政局も影響か
アメリカ合衆国運輸省の連邦鉄道局(FRA)が、テキサス州で進んでいる高速鉄道計画に関する安全基準案を3月10日に公表した。新幹線方式を前提に計画が進んでいるテキサス高速鉄道にとっては、大きな前進となる。
同計画はダラス―ヒューストン間(約380km)に専用線を建設し90分で結ぶというもので、事業を担うのはテキサスセントラル(TC)という民間会社。JR東海が技術面でのアドバイスを行う。当初はN700系の国際仕様「N700-i」を走らせる予定だったが、現在は7月から営業運転を行うN700Sをアメリカ仕様に改良して、最高時速330kmで走る計画になっている。
計画は遅れており、当初は2021年の開業を目指していた。現在は2020年中の着工、2026年の営業運転開始が目標だ。
車両はN700S
遅れているとは言いながらも、計画は少しずつ進んでいる。運行パートナーとしてスペインの政府系鉄道会社「レンフェ(renfe)」が参加し、土木工事や関連施設の建設を担う建設会社とも契約が結ばれるなど、プレーヤーもそろってきた。
N700Sをベースとした車両のイメージも発表された。客室のシートは通路をはさんで横に2席ずつ。2席と3席の組み合わせが主流の日本の新幹線よりもゆったりとしている。TCは「航空機よりも座席は広く、前後の座席との間隔も長く、窓も大きく、シートベルトを締める必要もない」として、航空機に対する優位性を強調する。日本人にとっては当たり前の情報だが、高速鉄道での移動になじみがないアメリカ人に対しては伝えるべき情報なのだろう。
テキサス高速鉄道はアメリカでこれまで走っていた鉄道とはまったく違うシステムである。長大な貨物列車が悠然と走るアメリカの鉄道にそのまま高速列車を走らせると、前を走る列車に衝突してしまうリスクがある。また踏切で立ち往生した大型トラックなどの自動車に衝突するリスクもある。そこで、テキサス高速鉄道は新幹線のような専用線方式でATC(自動列車制御装置)を採用、踏切もゼロにすることで、衝突リスクを徹底的に排除した。
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