JR東の新型新幹線、2種類の「鼻」は何のため?

先頭車両を入れ替えて実験することもある

アルファエックスの10号車(筆者撮影)

「さらなる安全性・安定性の追求」、「快適性の向上」、「環境性能の向上」、「メンテナンスの革新」の4つをコンセプトにしたJR東日本の新幹線試験車両「ALFA—X(アルファエックス)」。2030年度に予定される北海道新幹線札幌開業も視野に入れた次世代の新幹線車両開発という使命を背負い、北東北で試験運転を繰り返す日々が続く。

現在、日本最速の時速320kmでの営業運転を行っている東北新幹線だが、アルファエックスではこれを時速360kmまで引き上げるという大きな狙いがある。その試験結果が、将来開発される営業車両に生かされる。

「360」という数字的なインパクトもあり、スピードアップは一般利用者にとってわかりやすいセールスポイントだ。首都圏と札幌の移動手段は航空機のほぼ独占状態。スピードアップは航空機への対抗手段としても大きな武器となる。

ファステック最後の走行に乗車

一方で単純に最高速度を上げ、周囲に騒音をまき散らしながら走るわけにはいかない。もちろん安全や安定走行は必須条件。メンテナンスも改善したい。このように数多い要求を同時に満たすべく開発されたのが、アルファエックスである。

「アルファエックスは走る実験室です」とJR東日本で次世代新幹線プロジェクトのグループリーダーを務める原正明氏が説明してくれた。原氏はアルファエックスの先代にあたる試験車両「FASTECH(ファステック)」時代から新車両開発試験に携わっているベテラン。ファステックで培った研究データを元に誕生したのが現在、東北新幹線や秋田新幹線で主力車両の座にあるE5系とE6系だ。

「ファステックの最終試験は上越新幹線での試験だったのですが、これが無事終了し、ファステック退役前の最後の走行である新潟から仙台まで乗車しました。仙台の車両基地に戻ってきたとき、偶然にも隣の番線に落成したばかりのE5系先行量産車がいて、どこか運命のようなものを感じました」。旅客輸送に就くことなく、数々の試験を終えてひっそりと去ったファステックの思い出を語る原氏の表情がどこか優しい。

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