JR東の新型新幹線、2種類の「鼻」は何のため? 先頭車両を入れ替えて実験することもある

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一般目線で見るとインパクトのある「日本最高速度」というキーワードだが、原氏は、「そこにはあまり意識していない」という。むしろ、「試験の結果と日々の走行、研究など目の前のことをきちんとやっていくことを重視しています」。

時速360kmとは、達成すべき速度というよりも、最も優先すべき課題である、安全で安定した走行を確実に行うことができる速度なのだ。そして、「時速360kmというスピードで、お客さまにどのようなサービスが提供できるのかも検証すべき大切なポイントです」。

E5系は東北新幹線の開業と同時に誕生した200系、最高時速を275kmに引き上げたE2系に続き、東北新幹線における3代目のスタンダード車両となった。

ファステック時代にも「時速360km」というキーワードは存在したものの、速度向上との費用対効果を考慮した結果、E5系の営業運転では時速320kmでの運用が最適と判断された。高速化するためには車両の性能だけでなく、地上設備などの改修も行わなければならない。その費用も考慮された結果だ。むろん、時速320kmでもE2系から大幅な速度向上となったことに変わりはない。

2つの先頭車両は形状が違う

アルファエックスの先にあるまだ見ぬ次世代新幹線はE5系以上のパフォーマンスを目指している。アルファエックス最大の特徴ともいえる近未来的な長いノーズを持つ先頭車は、10号車側で1両のほとんどがノーズとなっている大胆な設計。1号車側の先頭車とは形状が異なり、双方の効果を比較することができる。1号車と10号車で形状が違うというのも、「走る実験室」のなせる技だ。

こちらの先頭車だが実は8月に1度東京方と新青森方を入れ替えて試験が行われている。これは南北に伸びる東北新幹線特有の事情もある。長い“鼻”はトンネル進入時に中の空気を押し出して出口側で大きな音を鳴らしてしまうトンネル微気圧波への対策が主な目的。トンネル側でも付近に住宅などがある場合は緩衝口を設置するなどの対策をしているが、ここに1つポイントがある。

次ページブレーキの開発も独特
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事