JR東の新型新幹線、2種類の「鼻」は何のため? 先頭車両を入れ替えて実験することもある

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東北新幹線沿線には、山影となる北側の出口付近に住宅があるトンネルは日照の面から比較的少なく、そのため緩衝口がないトンネルもある。つまり、南北の出口で構造が異なるトンネルが少なくないため、アルファエックスの実験目的の1つである環境性能向上の面から考えても先頭車を入れ替えての走行試験が必要なのだ。先頭車両の入れ替え時は仙台の車両基地内で大型トレーラーを使用して行われている。

東海道新幹線に比べると、東北新幹線の走行条件は多岐にわたる。冬季には降積雪があり、北海道新幹線に乗り入れる際に通過する青函トンネルは湿気が多く、機器の結露が気になる。北海道側は本州とは雪質や気温も大きく異なる。札幌延伸となればさらに条件は多様化することから、アルファエックスでは現行のE5系などに比べ、各機器類の耐寒性能をこれまでのマイナス20度からマイナス30度まで向上させた。

実際に走行するまではわからない

また、車両の高速化は同時にブレーキの進化が不可欠である。地震発生時の緊急ブレーキとして、車体屋根に設置した空力抵抗板ユニットを使用した停止試験、台車面に取り付けられたコイルをレール面に接近させ電磁効果で停止させる新たなブレーキ機構の試験、さらに新型パンタグラフを搭載して高速走行時の騒音を低減する試験も予定されている。

どんなに卓上の演算能力が高くなったとしても、実際に走行するまではわからないことも多く、「よかれと思ってつけたパーツが実は騒音源になってしまっていたというケースもありますし、1度だけいい結果が出たのでは営業運転では意味がない。繰り返しデータの数を取ることで営業列車に反映できるデータを見つけることができるのです。一方、営業路線に万が一の支障を与えてはいけないので深夜時間帯という状況も加わって試験走行は神経をつかいます」(原氏)

アルファエックスではまったく新しいサービスの開発も検討されている。「航空機の移動に比べて新幹線移動では、まとまった時間をご提供できるのが大きな特徴です。新幹線はすぐに乗れて、飛行機に比べて細かな乗り換えや待ち時間がありません。この時間を利用してどのような旅客サービスが提供できるのかという検討をしています」(原氏)。

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