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起業は「罪」なのか? ディープテックのスタートアップ企業に寄せられる期待と不安を考える

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  • 井上 達彦 早稲田大学商学学術院教授
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テック系のスタートアップがどのような社会的な価値を実現するのかは、フタを開けてみるまでわかりません。起業家たちも、さまざまな試行錯誤を通じて、技術の価値を最大化していきます。それゆえ3段階のステージを進むプロセスで、さまざまな顔を併せ持たざるをえないのです。

その結果、「既存のカテゴリーにはまらない、事業内容を説明しにくい企業」になったとすれば、どのように説明すればよいのでしょうか。

高いパフォーマンスを上げる連続起業家は、さまざまな顔を併せ持っていても、それらを有機的に結びつけています。これによって、投資家からの期待と信頼を勝ち取ることができます。最初の顔は技術、次の顔は製品・サービス、それらがビジネスモデルとして統合され、1つのアイデンティティを形成すれば、大きな期待を集めることもできるのです。

ステージ固有の課題に備えよ

テック系の起業家は無罪を主張できなければなりません。法廷であれば、裁判官や陪審員に証拠を提示することでしょう。

幸運にも無罪の判決が出されれば、身の回りの人たちも、メディアも、社会も無実を信じてくれるでしょう。しかるべき理由がない限りは控訴もされないので、1度の判決で正当性は確保されます。この意味でゲームのルールは単純です。

これに対してスタートアップの場合は、国の助成機関、ベンチャーキャピタリスト、機関投資家、メディア、利用者、大企業など、さまざまなオーディエンスに無罪(すなわち成功)を主張しなければなりません。しかも、ひとたび認められれば、それで済むという話ではありません。

それゆえ、テック系の起業家は、次から次へと立ちはだかる、そのステージに固有の課題を認識し、それに備える必要があります。課題の中には事前に手を打っておかなければ、後から解消するのが難しいものも含まれます。

不利な状況を自ら招いてはなりません。一握りの成功体験やメディアの通説を鵜呑みにすることなく、冷静かつ論理的に準備する必要があるのです。

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